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胃カメラ

 今日、家内が胃カメラの検査を受けました。最近、食欲がなく胃の調子が悪いので胃の検査を受けることになったのです。
 検査をしてくださったのは、市立札幌病院でご一緒だった松永内科クリニックの松永崇先生です。患者さん想いの優しい先生です。松永先生のカメラは最新式の電子内視鏡なので、鼻からカメラを入れて下さいます。従来の口から入れるタイプよりずっと楽だそうです。
 私は胃腸が弱く、今までに数回胃カメラの検査を受けたことがあります。はじめて検査を受けたのは学生実習でお世話になった病院へ行った時でした。『せっかく実習に来たのだからカメラでも飲んでみるか?』と先輩の先生に言われ素直に‘ハイ’と言ってしまいました。もう30年も前のことです。
 当時のカメラは親指ほどの太さで、のどを通る時から反射が強くよだれと鼻水をダラダラ流し、しまいには涙がボロボロになり同級生の前でひどく無様な姿になったのを記憶しています。
 卒業後も仕事のストレスで胃が痛くなり、何度か胃カメラのお世話になりました。何度やっても辛い検査でした。少しずつ飲み方が上手になり、最後に釧路労災病院で受けた時にはかなりマシになっていました。20年近く前のことです。松永先生とはまだ知り合っていませんでした。
 胃カメラの検査を受けるには胃の中を空っぽにしておく必要があります。家内も昨夜8時から何も食べたり飲んだりしないでくださいと指示を受けていました。
 今朝、私が起きてくると家内が『お父さんどうしよう、食べちゃった!』と困った顔をしています。毎朝の癖で炊飯器の蓋についた米粒を3粒何気なく食べてしまったそうです。
 『ばっかだなぁ~。お前、先生がカメラで見たら胃の中に米粒が3つ写るに決まってるじゃん。正直に言うしかないな』家内は恥ずかしながら看護師さんに報告したそうです。
 全身麻酔をかける時にも胃の中を空っぽにしておく必要があります。昔、総合病院に勤めていた頃、手術予定の患者さんに看護婦さんが絶食の説明をして給食へ連絡をして‘食止め(ショクドメ)’をしました。
 朝病院へ行くと婦長さんが真っ青になって、『先生、申し訳ございません。患者さんのおばあちゃんが食べさせてしまいました』と報告に来ました。
 孫に付き添っていたおばあちゃんが、『看護婦さんがご飯を食べたらダメ』と言ってご飯が出てこなかったので、可哀想に思ってパンを食べさせてしまったのでした。
 笑い話のような本当にあった話です。安全に手術を受けるためには胃の中に食べ物が入っているとダメです。ご飯もパンも水もジュースもコーヒーも飲めません。
 家内の検査結果は大きな病変はなく、軽度の胃炎だったそうです。胃腸薬をいただいてきました。米粒が3つ見えたかどうかはわかりませんが、おそらく優しい先生は見えても何もおっしゃらなかったのだと思います。

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