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災害時の医療

 新潟県柏崎市を中心として大規模な地震がありました。被災地の皆様には、お見舞い申し上げます。
 地震のような大規模災害では、当然、医療機関も被災します。最近建築された病院は、免震構造で災害にも強くできていますが、100%大丈夫ではありません。
 私の経験では、札幌を中心として大規模な地震が発生し、ビルが何棟も倒壊したら、まず病院も救命救急センターも機能しません。
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 有珠山が噴火した時に、北海道で噴火による大規模な災害対策を検討しました。
 札幌医科大学高度救命救急センターの浅井教授を中心として、火砕流による熱傷が発生した場合にどう対応するか?などを検討しました。
 それより以前に、市立札幌病院救命救急センターの牧瀬部長も研究をしていらっしゃいました。北海道で重症熱傷の患者様が発生した場合、どの病院でどの位治療できるかについてです。
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 軽いヤケドなら通院でも治せますが、重傷熱傷は生命の危険を伴います。何回も手術が必要です。
 雲仙普賢岳が噴火した時には、長崎大学形成外科のスタッフが活躍しました。
 被災地にたどり着くのもやっとだったと伺った記憶があります。
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 札幌の災害についての話に戻ります。病院は倒壊を免れても、病院の中も地震で被害を受けています。
 救命救急センターといえど、地震に備えてすべての医療器械や薬品をしっかり固定しているわけではありません。
 札幌でマグニチュード7以上、震度7なんて地震がおきたら、市立札幌病院も札幌医科大学附属病院も北海道大学病院も患者受け入れは不可能だと思います。おそらく救命救急センターの中はてんやわんやで、現在入院中の患者様の手当だけで精一杯です。
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 それじゃどこで治療してくれるの?という疑問が出ます。
 高度の治療が必要な患者様は、まず北海道内の救命救急センターが考えられます。
 札幌から近いのは、旭川赤十字病院、旭川医科大学、日鋼記念病院(室蘭)、帯広厚生病院、函館市立病院などです。
 私が勤務していた帯広厚生病院でしたら、一度にお引き受けできる重症熱傷は多くても数名でした。これでも、他のすべての外来診療を中止しなければできないかもしれません。
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 北海道内がダメでしたら、航空機で東京へ搬送です。
 私が思い浮かべるのは、杏林大学高度救命救急センター。ここはスキンバンクもあり、重症熱傷でもかなりの数に対応できると思います。それでも二桁は無理だと思います。
 あとは東京女子医科大学形成外科。女子医大形成外科には熱傷治療のスペシャリストが揃っています。国立災害医療センター、ここにも女子医大形成外科のスタッフが行っています。病院長の辺見先生は熱傷治療の専門家です。
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 来年のサミットの時に、もし有珠山が噴火して、諸外国の首脳が大勢重症熱傷を負ったらどうする?なんて、安倍首相は考えていらっしゃるのでしょうか?
 今は選挙で年金問題で頭がいっぱいだと思います。来年有珠山が爆発しないように祈っています。

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