医学講座

脂肪注入による豊胸術

 平成20年5月19日にご質問をいただきました。
 私は体重は太っているほうなんですが
 胸だけペッタンコで友達と温泉などに行けません。
 悲しいです。
 今流行り?
 の脂肪注入の豊胸は危ないんでしょうか?
 勧める先生とそうじゃない先生がいますよね。
 まあ、やはりなんの手術にもリスクはあると思いますが・・・
 痩せてるのに胸がある人もいるのに
 本当神様って不平等だなと思います・・・

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 余っている脂肪を、お腹や太ももから吸い取って
 胸に注入して膨らませるのは…
 とても理にかなった、合理的な方法のように思います。
 東大形成外科で脂肪幹細胞移植を発表されてから
 また、脚光を浴びています。
 でも私は施術しておりません。
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 脂肪注入による豊胸術は…
 最近、流行ってきたものではなく、
 かなり以前から行われていました。
 ところが、安易に行われて…
 脂肪は定着しない…
 胸はしぼむ…
 脂肪が溶けて胸にたまる…
 などなど、副作用が問題になり…
 誰も施術しなくなりました。
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 東大の先生が学会で発表した時も、
 脂肪幹細胞といっても完全に生着するのか?
 生着せずにしこりとなって残った場合は、
 乳癌との鑑別ができなくなるのでは?
 というコメントが学会場で出されました。
 美容外科の広告では、
 このような討論があったこと…
 副作用のことなどは…
 一切触れられていません。
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 東大の先生が施術しても、
 チェーン店の先生がしても、
 一度吸引した脂肪を、
 100%生着させるのは難しいものです。
 私が施術しない理由は、
 乳腺や乳腺下注入して、
 万一しこりとなった場合に、
 癌と区別できなくなったら困るからです。
 『余命1ヶ月の花嫁』ではありませんが、
 乳癌は死につながります。
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 この脂肪注入による豊胸術は、
 うまく生着すると、
 いらない脂肪が胸について理想的に思われます。
 吸引した脂肪が、生着するには、
 注入した脂肪細胞に血管がつながることが必要です。
 そのためには血流のよい部位に、
 少量ずつ注入するワザが必要です。
 私はこの手術の‘名人’といわれる先生の
 手術を見せていただいたことがあります。
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 その手術を見せていただいて、
 こりゃぁ~、自分じゃやらないと思いました。
 ですから今でも施術していません。
 シリコンバッグを使った豊胸術は、
 皮膜拘縮というリスクはあるものの…
 いざとなればバッグを除去できます。
 脂肪注入による豊胸術は、
 元に戻してと言われても、戻せません。
 これが私が施術しない一番の理由です。
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 もし、脂肪注入による豊胸術をお考えでしたら…
 東京大学形成外科をおすすめします。
 東大の同意書にも、
 100%生着するとは書いてありません。
 また、
 しこりになることがあるとも書いてあります。
 リスクのない、
 魔法のような手術はありません。

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