昔の記憶

ボーナスの想い出

 世の中は不景気です。
 今年の冬のボーナスは?
 どうなるだろう…?
 と心配な方は少なくないと思います。
 私が北大病院の研修医だった…
 約30年前のことです。
 当時の私の給与は、
 日給(時給ではありません)約3,300円。
 一ヵ月働いていただいたお給料は、
 99,000円程度で10万円になりませんでした。
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 もちろんボーナス(賞与)はありません。
 国家公務員(文部教官)である、
 助手の先生までは賞与がありました。
 助手になれたのは、
 卒後15年以上経過した、
 上から4人目の先生まででした。
 それ以下の非常勤職員は、
 日給月給制でした。
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 私が入局した年の、
 ボーナス支給日のことでした。
 いつものように上の先生について、
 朝から外来勤務をしました。
 その日も混んでいました。
 終わったのは14:00近くでした。
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 当時、医局長で講師だった、
 ‘杉さん’こと…
 杉原平樹(すぎはらつねき)先生が、
 『ご苦労さん!』
 『一生懸命働いてくれたのに、』
 『ボーナスもなくて申し訳ないなぁ~』
 『今日はボーナスが出たから』
 『お昼をごちそうするょ』
 と北大病院前の、
 ‘そば切り’というお蕎麦(そば)屋さんへ
 連れて行ってくださいました。
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 当時の研修医の昼食は、
 北大病院協済会の食堂か、
 医学部にあった、
 北大生協の食堂が定番でした。
 北大病院の
 道路をはさんで向かい側には、
 ラーメン屋さん、
 お蕎麦屋さん、
 お寿司屋さん、
 などがありましたが、
 めったに行くことはありませんでした。
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 『何でも好きなものを頼んでいいぞ!』
 『俺ができることは、これ位だけどなぁ~』
 と杉原先生のありがたいお言葉。
 さすが体育会系、元野球部です。
 私たち研修医3人は、
 『先生、本当に何でもいいんですか?』
 『それじゃぁ、いただきます!』
 と…
 ふだんは食べられない、
 大きなエビがついた、
 1,400円もした
 天ざるソバを注文しました。
 しかも大盛りでした。
 そのエビ天の美味しかったこと!
 ボーナス時期になると、
 ボーナスをいただいた想い出よりも、
 ボーナスが出なかった時代を思い出します。


北大病院前の
お蕎麦屋さん

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