医学講座

手あれと手袋②

 私たちヒトの手は、
 たくさんのことをします。
 ものをつくるのも手。
 字を書くのも手。
 自分自身で、
 食事をするのも手。
 お化粧をするのも、
 歯をみがくのも、
 顔を洗うのも手です。
      ■         ■
 2007年10月28日の日記に
 『手のぬくもり』を書きました。
 私たちの手は実に精密に作られています。
 手の構造を見ると、
 手のこう(手背側)と
 手のひら(手掌側)では、
 皮膚の厚さや構造がまったく違います。
 手のこうの皮膚は薄く、
 手のひらの皮膚は厚いのです。
 手のひらの皮膚と同じ構造は、
 足の裏の皮膚です。
      ■         ■
 体重を支えて歩くために、
 足の裏の皮膚は
 厚く固くなっています。
 手のひらの皮膚も
 いろいろなものを持ったり、
 触ったりするために、
 厚く丈夫につくられています。
      ■         ■
 同じヒトの手でも、
 重いものを持ったり、
 包丁で固いものを切る
 作業をするヒトの手は、
 鍛えられて丈夫になります。
 手を見るとその人の人生がわかります。
      ■         ■
 昔から…
 トイレに行ったら手を洗う!
 外から帰ったら手を洗う!
 とにかく、
 私たちは子どもの頃から、
 よく手を洗うように躾け(しつけ)られます。
 院内感染で、
 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などを、
 患者さんから患者さんへ移すのも、
 私たち医療従事者の手が原因といわれます。
 そのため、
 手洗いやグローブの着用を指導されます。
      ■         ■
 皮膚が強い人と弱い人がいます。
 山には、ウルシという植物があります。
 ウルシオールという成分が含まれ、
 これが原因で皮膚炎を起こします。
 子どもの頃に山に行くと、
 必ず、これに触ってはダメと教えられます。
 ふだん、食べているものでも、
 手で触ると皮膚炎になるものもあります。
 日本皮膚科学会HPには、
 シソ(オオバ)による手の皮膚炎が
 掲載されています。
      ■         ■
 手はいろいろなものに触るので、
 炎症を起こしやすい部位の一つです。
 原因となる物質に触れないことが、
 一番よい対策です。
 そんなこと言ったって無理!
 と叱られそうです。
 主婦が
 炊事や洗濯をしないわけにはいきません。
      ■         ■
 ネットで‘手あれ’と検索すると、
 たくさんのサイトが出てきます。
 ハンドクリームやオイルの宣伝もあります。
 私がおすすめする、
 手あれ対策は、
 手を洗い過ぎない!
 石鹸を使いすぎない!
 軟膏やクリームで手を守る!
 です。
 症状が強い方は、
 必ず信頼できる皮膚科専門医
 を受診なさることです。
      ■         ■
 高価なハンドクリームだけがよいのではありません。
 何も添加物が入っていない、
 白色ワセリンという薬があります。
 ベトベトするのが難点ですが、
 これで皮膚表面を保護することで、
 かなり楽になります。
 ニオイもないので食品製造の方も安心です。
      ■         ■
 皮膚科へ行くほどでもない方は、
 市販のハンドクリームもよいと思います。
 一日、一回多量に塗るよりは、
 薄く何回か塗る方がよいです。
 私は、皮膚科専門医ではありませんので、
 ご相談いただければ、
 信頼できる皮膚科専門医をご紹介いたします。
 まみ子師長さん、
 これでよろしいでしょうか?

“手あれと手袋②”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ