医学講座

ニキビの新薬

 平成21年1月11日(日)朝日新聞朝刊に
 ニキビ新薬の記事が掲載されていました。
 このお薬は、
 ディフェリンという名前です。
 一般名を
 アダパレンと言います。
 フランス生まれのお薬です。
 1995年にフランスで発売され、
 米国では1996年に発売されました。
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 一部の報道では、
 ニキビの特効薬!とまで書かれていました。
 誤解していただきたくないのは、
 この薬を塗るだけで、
 すべてのニキビが、
 一瞬にして消えるのではない!
 ということです。
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 最初にお断りしておきますが、
 厚生労働省が保険適応のお薬として認めたのが、
 2008年9月12日であるということです。
 レチノイド製剤(ビタミンA誘導体)という種類のお薬で、
 美容外科ではトレチノインとして、
 かなり以前から用いられていました。
 東大形成外科の吉村先生が第一人者です。
 美容外科ではニキビよりも、
 シミのお薬として使用されていました。
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 問題なのは…
 妊娠する可能性のある人に使用しないこと。
 妊娠中の使用に関する安全性は確立していない。
 動物実験において、
 経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。
 ことです。
 女性はしっかり避妊をして使うことです。 
 実際に生まれた赤ちゃんに問題があったかどうか…?
 までは知りませんが、
 美容外科でレチノイド製剤を使う時は
 必ず避妊のことをお話ししていました。
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 このお薬で、
 かなりニキビ治療がよくなると思います。
 ただしこりになって2週間以上治らないニキビには、
 このお薬でも効かないと思います。
 こういうニキビは芯を取らないと治りません。
 2008年4月14日の日記に書いてあります。
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 ディフェリンゲル0.1%の使い方です。
 1日1回、就寝前に洗顔後塗布します。
 薬価は1g当たり117.70円 。
 包装単位は15g入りチューブなので、
 一本1,766円とかなり高価なお薬です。
 個人輸入したりせずに、
 必ず皮膚科の先生からいただいてください。
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 以下が朝日新聞の記事です。
 医療
 ニキビに新治療薬
 「アダパレン」でき始めにも効果
 ニキビ治療に昨秋、新タイプの治療薬が保険適用となった。赤いニキビの炎症を抑える抗菌薬と異なり、でき始めのニキビにも効果がある。皮膚を清潔に保つなど生活習慣の改善もあわせれば、ひどいニキビに悩む多くの人の役に立ちそうだ。(林 義則)
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 和歌山県内に住む中学2年の女子生徒(14)が、額にできたニキビに悩み始めたのは1年生の夏ごろ。最初は、額にぱつぽつと膨らみができる「白ニキビ」がある程度だった。次第にほおや鼻にも広がり、炎症を起こした「赤ニキビ」も目立つようになった。
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 和歌山市内の宮崎クリニックを受診。赤ニキビに1日2回、抗菌薬のクリームを塗り、漢方薬と抗菌薬を飲む治療を1年ほど続けた。ニキビの数はかなり減った。だが、苦みのある漢方薬を敬遠して服薬を中断すると、またニキビができてしまう状態が続いていた。
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 宮崎孝夫院長が勧めたのは、昨年9月に公的保険が利くようになったばかりの薬「アダパレン」(商品名ディフェリン)。女子生徒は毎日1回、就寝前の洗顔後にニキビとその周辺部に広めにゲル状の薬を塗る治療も始めた。
 使用開始から、1ヵ月後には、ひどいときは40個以上あったニキビが減り始め、2ヵ月で額に数個の白ニキビが残るだけになった。「新しいニキビができにくくなった感じがする」と女子生徒は話す。
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 思春期にはホルモンの働きが活性化し、毛穴の奥から分泌される皮脂が増える。毛穴が狭まり、皮脂が毛穴の奥にたまると、白ニキビができる。開いた毛穴に、皮脂などがたまった場合は、毛穴が黒ずんだ「黒ニキビ」になる。
 これに対し、毛穴が詰まってしまい、細菌が増殖して炎症を起こしたのが赤ニキビだ。
症状が進むとうみがたまり、傷口が広がって跡が残ることもある。

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 従来の抗菌薬は、細菌を殺して炎症を抑える仕組みで、赤ニキビの治療にはよく効いた。
だが、白ニキビや黒ニキビといった初期段階での治療効果は高くなかった。

 アダパレンは、この初期段階に働き、ニキビが悪化する前に抑える予防的な効果があるのが特徴だ。穴が詰まる原因となる表皮細胞の増殖を抑え、毛穴の表皮をはがれやすくする。
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 藤田保健衛生大の皮膚科医、赤松前彦教授は「赤ニキビのように穴が燃え広がる状態になる前なら、治療も早く、跡を残さずに治すことができる」と説明する。
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 ただ、副作用には注意が必要だ。長期試験では、使用開始後1週間以内に、参加者の64%に皮膚の乾燥やヒリヒリ感、赤みなどが出た。2週間以降、副作用は減る。いずれも軽い症状で、試験中止となった例はなかった。「副作用についての説明を事前に受け、気になる場合は、医師に相談して欲しい」と宮崎院長は話す。
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 抗菌薬・保湿剤と組み合わせ
 東京女子医大の林伸和准教授らが、医学生など約800人を対象にした調査では、9割以上がニキビを経験。病院で治療を受けたのは約12%で、うち治療に不満を持っている人が3割以上いた。3,900人を対象にした別の調査でも、ニキビを持つ人で通院したのは14%で、うち4割が治療途中で通院をやめていた。治療に満足していない様子がわかる。
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 アダパレンにかかる期待は大きい。日本皮膚科学会が昨年9月、臨床研究の分析結果などに基づいて初めて作ったニキビ治療についてのガイドラインによると、従前からある抗菌薬の塗り薬は、軽症から最重症までの赤ニキビの治療で強く推奨されたのに対し、アダパレンは、赤ニキビ治療では軽症から重症まで。だが、炎症を起こす前の初期のニキビの治療でも、強く推奨されると位置づけられた。
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 ガイドラインの策定委員会の委員長を務めた川島眞・東京女子医大教授は「アダパレンと様々な抗菌薬の組み合わせが、今後の治療の基本になるだろう。どのような種類の抗菌藁や保湿剤との組み合わせが、刺激感の少ない治療につながるか見極めていく必要がある」と話す。
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 一方、ニキビ治療では日常生活での心がけも大切だ。川島教授は「ニキビを気にして触らないこと」とまず指摘する。皮膚への刺激は、毛穴の詰まりを悪化させ、炎症をひどくする。また、自分でニキビをつぶすと不潔になり、ニキビ跡を残すもとになる。
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 ニキビを隠そうとして化粧を厚くすると、悪化させることもある。化粧品各社は、二キビのできにくい化粧品に「ノンコメドジエニック」の表示を付け、販売している。各社の評価基準によるもので、統一されていない問題はあるが、製品選びの目安にはなる。
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 基本は洗顔だ。ガイドラインで推奨しているのも、1日2度の洗顔を欠かさないこと。せっけんで洗ったらしっかりすすぐ。
 甘いものなど特定の食べ物が、ニキビを悪化させるとの明確な根拠はない。「極端な偏食を避け、バランスの良い食事を心がければよい」と川島教授話している。


以上、朝日新聞より引用

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