医学講座

美容外科医の悲哀

 美容外科の先生は、
 高給で…
 当直がなくて…
 キレイな女の人を相手にして…
 さぞ優雅な生活だろうと…
 思っていらっしゃる方は?
 いらっしゃいませんか?
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 当直がないのは事実ですが、
 朝から深夜まで働いています。
 私からのメール返信が深夜で、
 驚かれた方も少なくないと思います。
 一年365日、
 一日も休まずに働いています。
 有給休暇もありません。
 代診を頼んだこともありません。
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 高給優遇だったのは…
 過去の話しです。
 今、高給優遇で迎えられるのは…
 レーシック専門の眼科医です。
 でも、そのうち価格破壊が進みます。
 高給優遇は長くは続きません。
 機械さえあれば、
 眼科専門医でなくてもできる手術は、
 あっという間に安くなります。
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 キレイな女の人相手の手術は疲れます。
 もともとお直しの必要がないくらい美人です。
 ちょっとの失敗も許されません。
 若い男性相手の包茎手術の方が…
 『世界中どこへ行っても…』
 『恥ずかしくないように手術するので、』
 『がんばってくださいょ!』
 とか…言って手術しているので気が楽です。
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 私はキレイな花を見るのも、
 作るのも好きです。
 高校生の時から趣味の園芸を見ていました。
 (最近は時間がないので見ていません)
 毎日診療をしていると、
 患者さんから…
 励ましていただくことが多いのですが、
 たまに凹むことがあります。
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 昨日いらした高齢の女性です。
 採血の痕が少し黒くなっただけで、
 心配してクリニックにいらしていました。
 皮膚も血管も弱く、
 ふつうに採血しても黒くなります。
 手術をすると、もっと黒くなって、
 パンダのようになることもありますょ。
 ご心配でしたら手術はなさらないでください。
 と何度も申し上げました。
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 手術日もご心配なようでしたので、
 娘さんに手術室に入っていただき、
 手術中も娘さんに手を握っていていただきました。
 細心の注意を払って止血し手術をしました。
 腫れは軽度でした。
 とても見やすくなったと喜んでいらっしゃいました。
 昨日、一ヵ月後にいらして…
 片方だけ半分しか切っていないので
 下がってきたので治して下さい。
 と言われました。
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 左右とも切った長さはまったく同じ。
 若干の左右差はあるものの…
 黒目はしっかり出ていました。
 職員が見ても
 私が見ても
 再手術で治すような左右差ではありませんでした。
 術前と術後の写真を準備して、
 再手術をすると、
 もっと左右差が目立つことを、
 丁重にご説明いたしました。
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 ご満足いただけないのは、
 私の技術不足のためです。
 申し訳ございませんが、
 技術の限界を感じました。
 こんなことがあるととても疲れます。
 昔、北大形成外科の先輩が
 おばあさんの手術をして、
 手術部位から糸が出てきました。
 何度か続けて糸が出たので、
 『どうせ安い糸つかってんだべさ!』
 と言われて凹んでいました
 当時、使っていたのは最高級の糸でした。
 こんなこともたまにあります。

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