医学講座

わきが手術と年齢⑥

 ご質問に対する回答です。
 手術後、ワキを固定して・・・
 固定が解除された後、
 肩を上げる動作などの指導も
 先生が行っているのでしょうか?
 それとも看護師さんが
 指導されているのですか?
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 固定解除後の、
 肩を上げる…
 つまりワキを動かす運動は、
 私がしております。
 一番痛いと言われます!
 筋肉が発達した、
 筋骨隆々とした男性が…
 『いって~~ぇ!』
 と足をバタバタして痛がります。
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 わきがの原因となる部位の皮膚は、
 薄く削られています。
 注意深く腕を上げないと…
 うすく削った皮膚の下に、
 漿液腫(しょうえきしゅ)という
 水がたまることがあります。
 (実際には黄色の液体です)
 これができると硬くなりやすいのです。
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 軟膏を塗ったりするのは、
 看護師が行いますが、
 ワキの運動については私(医師)がしています。
 硬くなった皮膚を…
 柔らかくするのが大変です。
 皮膚は大丈夫でも、
 皮膚の下に‘スジ’ができることがあります。
 これを瘢痕(はんこん)と言います。
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 チェーン店の美容外科で手術を受けると、
 お金を払うのは最初だけです。
 20万円~30万円というところが一般的です。
 (100万円は異常です)
 チェーン店としては、
 お客さんの来院回数が増えると、
 経費がかかります。
 できるだけ少ない通院で済むと、
 クリニックとしては助かるわけです。
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 ですから…
 『通院は不要です』とか
 『抜糸の後は通院の必要はありません』
 と説明するのです。
 ところが、
 しっかり手術をすればするほど…
 皮膚の下にキズができます。
 臭いをとるための手術です。
 おっぱいの横まで広範囲に手術をすると…
 それだけ回復に時間がかかります。
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 50歳を過ぎた男性は…
 肩の動きが悪いので硬くなりやすいのです。
 それと…
 10代の高校生でも…
 硬くなることがあります。
 わきが手術の目安は、
 脇毛が親と同じ程度になった時期です。
 中学生や高校生は多感な時期です。
 人生でもっとも傷つきやすい時期です。
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 少しでも早く手術をしたいというお気持ちは、
 本人だけではなく、
 親にとっても同じです。
 ところが…
 15歳程度で手術をすると、
 キズが赤く硬くなることがあります。
 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と言います。
 人生でもっともキズを目立たせたくない時期が、
 一番キズが目立ちやすい時期なのです。
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 形成外科医になりたての頃に、
 先輩から教わりました。
 キズが目立ちにくいのは、
 生まれたばかりの赤ちゃん。
 小学校入学までの子ども。
 一年間に身長が何センチも伸びる、
 成長期の子どもはキズが目立ちやすい
 形成外科医の言い伝えです。
 高校卒業から大学生までが、
 社会的に時間もあり、
 わきが手術の適齢期だと
 私は考えます。

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