医学講座

新型インフルエンザ2009

 少し古くなりましたが、
 平成21年5月14日、朝日新聞朝刊の記事です。
 オピニオン_私の視点
 新型インフル_検疫より国内態勢整えよ
 木村もりよ
 医師、厚生労働省検疫官
 成田空港の飛行機内の検疫で、大阪市の高校生らが新型インフルエンザに感染していることが見つかり、政府は「水際作戦」をさらに徹底するという。今回のことは、ウイルスの国内侵入を未然に防いだ成功例に見えるかもしれないが、実は無意味で、この労力は国内対策の充実に向けるべきだと考えている。
 まず、新型インフルエンザの潜伏期間は最長1週間とされ、短期間の旅行や出張で帰国する人は検疫で把握することが難しい。いまの機内検疫はインフルエンザが広がっているメキシコ、米国、カナダからの直接の帰国者が対象で、これらの国から別の国を経由して帰国すれば対象にはならない。ウイルスはすでに国内に入っていると見るべきだ。
 世界保健機関(WHO)も5月7日に改めて見解を示し、①検疫に疾患の広がりを減らす機能はない②国際交通に大きな影響を及ぼす方策をとる国はWHOに公衆衛生的な理由と、効果があるという証拠を提出しなければならない――としている。
 この無意味な検疫のために、多くの医療関係者が動員され、防護服と息苦しいマスクをつけて朝から晩まで働いている。検疫のために、体温がわかるビデオカメラのようなサーモグラフィーを1台200万円超で151台も購入している。
 秋以降に本格化するとみられる国内での感染の広がり(第2波)と、今後、強毒化する可能性を考えれば、機内検疫で使っている労力や資金は、「発熱外来」をはじめとした国内態勢の整備に向けるべきだ。
 日本の医療機関の多くは個室の診察室がなく、通常の外来とは別に新型インフルエンザの疑いがある患者を診る場所が必要だ。そのため、公立病院などに、ウイルスの拡散を防ぐため、外よりも気圧が低い「陰圧室」を持つプレハブを建てる。
 体調が悪い人は、まず、自宅静養をする。そのうえで、どうしても薬がほしい、重症化しそうだという患者は、発熱外来に来てもらう。
 問題は、コレラやチフスの流行を受けて半世紀以上も前に作られた検疫法が今も生きていることにある。この法律は、患者が発生した船を浦賀沖に留め置いた悠長な時代のものだ。検疫法は厚生労働省が所管しているが、国内で患者が発生した後は都道府県が実質上の実施主体である感染症法での対応になる。ただ、都道府県は財政難でもあり、対策のための資金がすぐに出てこない。
 今のままでは、第2波が来たときは同じ検疫の繰り返しになる。新型インフルエンザが検疫法に入っている以上身動きが取れない。新型インフルエンザ、新型肺炎SARSや天然痘など、社会機能をマヒさせるかもしれない感染症については、改めて法律を作り、厚労省が直轄で国内対策にも取り組める体制が必要だ。
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 米ジョンズ・ホプキンス大公衆衛生大学院疫学部修士課程修了。近著に「厚生労働省崩壊 「天然痘テロ」に日本が襲われる日」。
 (以上、朝日新聞より引用) 
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 この木村先生の記事が出たのが、
 先週の木曜日です。
 先生が原稿を執筆されたのは…
 それより数日前だと予測されます。
 今、新型インフルエンザは、
 関西を中心に広まっており、
 札幌で感染が確認されるのは、
 時間の問題だと(私は)思います。
 木村先生の予想通りに感染が拡大しています。
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 木村先生は
 お医者さん向けのm3.com(エムスリードットコム)で
 咳エチケットを徹底して、
 発熱や咳がひどい時には
 学校や会社を休む、
 具合が悪かったら自宅で静養する、
 それでもどうしても具合が悪かったら、
 「ここの病院に行ってください」、
 こうしたことを
 国は繰り返し国民に訴えればいいだけです。
 今やるべき対策は非常にシンプルです。
 と述べられています。
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 お医者さんの間では…
 厚生労働省の対応は、
 きわめて不評です。
 国は予算の使い方を間違っています。
 今の世の中…
 お金がなくて医療機関にかかれない人が、
 たくさんいることを認識すべきです。
 マスクに効果があるのなら…
 タダでたくさん配るべきです。
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 私は昔から…
 ファッションなどには疎く(うとく)
 流行遅れもいいとこなのですが…
 インフルエンザや風邪には、
 真っ先にかかっていました。
 インフルエンザワクチンは、
 毎年必ず2回打っています。
 今回はワクチンが入手できないので、
 手洗いをいつも以上にして、
 体力を消耗しないように…
 健康管理に気をつけます。

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