昔の記憶

麻酔科研修の想い出③

 私が麻酔科研修を受けた時に、
 私に直接、麻酔技術を指導してくださったのは、
 高橋長雄教授ではありませんでした。
 私に喉頭鏡(こうとうきょう)という器具を使って、
 口から麻酔の管(くだ)
 【挿管(そうかん)チューブと言います】
 を入れる手技を教えて下さったのは…
 当時の講師や助手・研究生の先生でした。
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 そのうちのお一人が、
 風のガーデンで、
 麻酔科の指導をなさった、
 旭川医科大学の岩崎寛教授でした。
 岩崎先生は大学院生で、
 博士号を取得するために、
 日夜研究をなさっていらっしゃいました。
 その他にも、
 当時、助手や研究生だった先生が、
 日本全国で、
 麻酔科教授としてご活躍中です。
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 麻酔科の朝は早く、
 夜は遅くまで研究室で勉強をしていました。
 ほぼ全員…
 夕食は出前でした。
 札幌医大近くのラーメン屋さんだったり、
 食堂だったりしました。
 夜の勉強は強制ではありませんでしたが、
 教室全体が勉強をする雰囲気でした。
 勉強の途中で、
 医局でコーヒーを飲んだり、
 雑談もしました。
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 そこら中に、
 教科書を執筆するような‘先生’が、
 何人もいました。
 医局には本や論文などの資料も、
 豊富にありました。
 わからないことがあれば、
 何でも気軽に質問できる雰囲気がありました。
 この豊富な人材こそが、
 高橋長雄教授が築かれた…
 貴重な財産であり、
 札幌医大麻酔科が、
 多くの教授を輩出した、
 原動力だと思います。
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 私は麻酔科研修で、
 点滴の刺し方から、
 中心静脈カテーテルの入れ方。
 心肺蘇生の基礎。
 とにかく…
 医師として、
 いざという時に必要な手技や知識を
 すべて教えていただきました。
 麻酔科研修を終えた後は、
 医師としての自信が数倍にもなった気がしました。
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 札幌医大麻酔科で教えていただいたのは、
 技術だけではありませんでした。
 事故を起こしてはいけないという、
 極めて基本的なことを何度も言われました。
 医師賠償責任保険にも加入しました。
 依頼があった麻酔は、
 断らないというのも、
 札幌医大麻酔科の特徴でした。
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 われわれは、
 北海道が作った公立大学の職員で、
 札幌医大は道民のための大学病院。
 手術を必要としている患者さんのために、
 最善を尽くすのが当然…と
 当時の並木助教授(現名誉教授)に、
 教えていただきました。
 麻酔の手技とともに…
 私の心の中に生涯、残っている、
 札幌医大麻酔科のスピリットです。

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