医学講座

リンパ管静脈吻合術(LVA)

 昨日(2017年9月16日土曜日)、
 第94回北日本形成外科学会北海道地方会が、
 北大医学部フラテホールで開催されました。
 なつかしい、
 北大医学部です。
 まだイチョウの葉は緑です。
 あと一ヵ月もすると黄色くなってきます
 北大は緑がきれいで素敵な大学です。
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 昨日の第94回北日本形成外科学会北海道地方会で、
 一番勉強になったのが、
 最後の特別講演でした。
 北大形成外科准教授の、
 古川洋志先生です。
 リンパ浮腫という病気があります
 子宮癌の手術後などに、
 下肢がぞうさんの足のように、
 太く腫れてしまう病気です。
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 乳がんの手術後に、
 上肢が腫れてしまうことがあります。
 とてもつらい病気です。
 太ももから、
 足くびまで、
 ぱんぱんに腫れてしまいます。
 ふつうのパンストなどは入りません。
 着る服も限られてしまいます。
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 リンパ浮腫の治療は、
 マッサージや弾性ストッキングなどの治療が第一選択です
 いきなり手術になることは少ないです。
 困るのが、
 リンパ液が漏れる、
 リンパ瘻りんぱろうです。
 全員に起きるのではありませんが、
 大陰唇からリンパ液がもれて、
 下着がびちょびちょになる方がいます。
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 そんな患者さんの治療に有効なのが、
 リンパ管静脈吻合術(LVA)です。
 日本で発達した治療法です。
 古川洋志先生は、
 とてもまじめな先生です。
 ご自分の手術をさらに改善するために、
 横浜市立大学形成外科の、
 前川二郎まえがわじろう教授のところに行かれたそうです
 前川教授はリンパ管静脈吻合術の権威です。
 やさしくて腕のいい先生です。
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 横浜で学んだ技術を、
 札幌に持ち帰って、
 患者さんの治療に役立てています。
 素晴らしいことだと思います。
 リンパ浮腫で困っている方は、
 北海道なら北大の古川洋志先生
 関東なら横浜市立大学形成外科の、
 前川二郎まえがわじろう教授をおすすめします。
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 難しい内容ですが、
 古川先生の抄録です。
 形成外科医のリンパ浮腫治療LVAの現状
 古川洋志,山本有平(北海道大学医学研究院形成外科学教室)
 リンパ管静脈吻合術(LVA)は、日本が中心となって世界に広まった手術手技の感があり、実際多数の論文がこれまで日本人により発信されている。
 筆頭演者の施設でもLVAを始めているが、手技そのものは容易と感じてはおらず、国内のリンパ浮腫治療の最先端を行く施設を見学させてもらいながら、技術の精度と成績の向上をおいかけている。
 1)国内でのLVAの現状について実施された、三年前の厚労省の第三次対がん総合戦略研究事業「国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究」小班(リンパ浮腫グループ)の実施したアンケート調査の結果を紹介させていただき、LVAを実施している専門の施設のみでなく、一般病院も含めた国内全体でのアンケート調査の結果から、国内のLVA実施施設の現状について紹介したい。
 2)世界に広まっているLVAの現状をも理解するために、国外施設からのLVAの報告に対するレビューを行った。 LVA, lymphedema等の検索ワードでPubMedにて検索すると、発表施設別件数からは、多くが本邦からの論文であることがわかり、国内の形成外科・・マイクロサージャリー関連の学会報告でも散見されるように、手技の開発や工夫、進歩に関して本邦は世界の先端を走っていると思われる。一方日本人以外の論文で、LVAについて杏かれた論文は少ないが、予防的ないし治療的目的でLVAを行い、治療成績を記述しているいくつかの施設の報告に注目した。これらの海外の論文をひもとくことで、現在国内で盛んに行われているLVAの今後の展開を推察するうえで手がかりになると考えた。

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