医学講座

サーマクール不正販売2017

 平成29年9月25日、朝日新聞朝刊の記事とその関連の記事です。
 美容機器不正、逮捕へ 大阪の業者、未承認品販売した疑い
 日本で未承認の米国製小じわ取り機「サーマクール」を医療機関に不正に販売・リースしたとして、大阪府警は9月25日にも、医療機器販売会社「セイルインターナショナル」(大阪市住之江区)の代表取締役(62)ら関係者数人を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
 サーマクールは棒状の先端部分を顔に当て、電磁波による刺激でコラーゲンを増やして小じわやたるみを取るとされる。美容医療ブームに乗り手術のいらない人気機器となったが、部品の不正転売先でやけどなどの被害も確認されていた。メーカー側によると価格は700万~900万円ほど。40~50代の女性を中心に年約1万5千人が医療機関などで利用しているとみられるという。
 国内未承認の医療機器だが、医師が厚生労働省に申請して許可を受ければ治療目的で個人輸入し、使用できる。だが、医師免許のない業者が輸入することや、医師も含み販売やリースすることは禁止されている。
 捜査関係者によると、同社関係者らは昨年から今年初め、国内未承認のサーマクール数台を医療機関などに違法に販売・リースした疑いがもたれている。
 同社は他人の医師免許のコピーを無断で使って書類を作成し、サーマクールを不正に輸入したとされる。厚労省は2017年3月、サーマクールを販売・リースしたとする容疑に加え、有印私文書偽造・同行使容疑などでも府警に刑事告発していた。
 同社をめぐっては2017年2月、サーマクールの使用済み部品を医療機関から買い取り、滅菌処理して別の医療機関に転売していたことが朝日新聞の報道で発覚した。代表取締役は2月、朝日新聞の取材に「サーマクールを国内では販売できないという認識はあった」と説明。「販売目的での保有が禁じられていることも知っていた。だが、注文を予想して事前に輸入して保有することもあったかもしれない。不適切な対応だった」と話していた。
正規品数万円が4千円で 美容機器の転売、安全より安さ
 国内でも人気の美容医療機器の使用済み部品が違法に転売され、利用者が顔や首をやけどする事例も報告されていたことが明らかになった。「プチ整形」など美容医療がブームになるなか、施術の値下げ競争も激しくなり、「安い機器」のニーズが高まっている。その一方で、被害の防止が後回しにされていた。
 「手術をしないで、たるみやシワを改善してくれます」
 ある美容医療機関のホームページでは、そんなうたい文句で米国製の医療機器「サーマクール」を使った施術をPRしている。
 サーマクールは国内では未承認だが、医師が個人輸入すれば治療に使える。ネットで「サーマクール」と検索すると、国内のいくつもの医療機関が登場する。それほど人気の機器だ。
 大阪市の医療機器販売会社を介してサーマクールの部品を売買していた医療機関のうち、取材に応じた関東地方の美容医療機関は、「正規品よりも安かったから買った」とその動機を語った。
 サーマクールは国内では未承認だが、医師が個人輸入すれば治療に使える。ネットで「サーマクール」と検索すると、国内のいくつもの医療機関が登場する。それほど人気の機器だ。
 大阪市の医療機器販売会社を介してサーマクールの部品を売買していた医療機関のうち、取材に応じた関東地方の美容医療機関は、「正規品よりも安かったから買った」とその動機を語った。
 サーマクールを使った施術は、健康保険証を使って1~3割の自己負担で治療を受けられる保険医療ではなく、患者が全額支払う自由診療だ。メーカー側や美容医療機関の医師によると、サーマクールが登場した2003年当時、施術料の相場は約40万円だった。しかし、大手の医療機関が施術料を値下げすると、価格競争が激しくなったという。
 そこで登場したのが使い回しの部品だ。正規品は1個数万円なのに対し、販売会社の使い回し品は4千円。これを使うと施術料が半額以下になり、大手にも対抗できたという。関東地方の美容医療機関は「患者さんに安い料金で提供したかったし、利益を上げたい気持ちもあった」と語る。
 しかし、顔など皮膚に当てる部品は複数回使用すると、やけどなどの健康被害を起こす危険性がある。メーカー側は医療機関に健康被害の危険性を伝え、使い回し品を使用しないよう促してきた。だが、取材に応じた別の関東の医療機関は「使い回し品であることも、健康被害の危険性があることも、患者には伝えていなかった」と話した。
 メーカーは1回使用すると使えなくなる安全装置を部品につけているが、販売会社は、その安全装置を解除して転売していた。
厚労省、安全確保へ対応しきれず
 国内の美容医療は、手術を伴わない「プチ整形」の人気もあり、拡大の一途だ。だが、増え続ける美容医療機関や未承認の医療機器に対して、安全確保の面で厚生労働省が対応しきれていないのが実情だ。
 日本美容皮膚科学会の正会員数は2001年度の474人から、2015年度には2064人と4倍に増えた。これに伴い、医師による未承認の医薬品・医療機器の個人輸入も増えている。
 厚労省によると、医師の個人輸入数は2010年度に3万9331件だったが、2015年度には6万3036件に伸びた。医薬品の用途ごとにみると、2010~2015年度は美容効果目的の医薬品数が全医薬品の約24~34%を占めて最も多かった。
 厚労省は、未承認の医療機器の国内での譲渡・転売を禁じているが、輸入後にこれらがどのように管理されているかを確認する手立てはない。輸入を許可する「薬監証明」には、製造番号など機器を特定する情報の記載がなく、仮に転売されてもそれが転売品であるかどうかの確認ができない。
 サーマクールの部品が違法に転売されている事実を伝えると、厚労省の担当者は「輸入の段階で譲渡・転売しないように誓約書は取っているが、より周知していきたい」と話した。(沢伸也、八角健太)
大阪の販売会社 監督が不十分だった
 大阪市の医療機器販売会社の社長は朝日新聞の取材に、「合法的にやっていると思っていたが、社員に聞くと違法に転売していた。監督が不十分だった。ただ、転売する際には点検しているので、出荷段階では安全性に問題はないと考えている」と話した。
 同社の内部資料に部品の売買の記録があった70の医療機関にも質問状を送った。14の医療機関から回答があり、売却については「販売会社から米国に売却すると聞いていた」「リサイクルされるならと思って売った」、購入については「米国から輸入していると思っていた」「使い回しが違法とは知らなかった」などとした。
小じわ取り機の不正販売で逮捕 医師免許を無断使用か
 日本で未承認の米国製小じわ取り機「サーマクール」を医療機関に不正に販売・リースしたとして、大阪府警は9月25日、医療機器販売会社「セイルインターナショナル」(大阪市住之江区)代表取締役の坂口時彦容疑者(62)=大阪市中央区高麗橋1丁目=ら2人を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕し、発表した。坂口容疑者は「(法的に認められた医師の)輸入を代行しただけ」と容疑を否認しているという。
ほかに逮捕したのは、同社の元販売課長の田中聡容疑者(47)=大阪市福島区野田3丁目。生活環境課によると、2人は共謀して昨年10月~今年1月、計3台のサーマクールを東京都豊島区などの3医療機関に販売・リースした疑いがある。田中容疑者は「サーマクールを販売・貸与したことは間違いない」と容疑を認めているという。
 この3台は3医療機関とは無関係の医師名で輸入されていた。府警は同社が医師免許を勝手に使って申請したとみている。
 サーマクールは棒状の先端部分を顔に当てて電磁波による刺激でコラーゲンを増やし、小じわやたるみを取るとされる。国内未承認で、医師免許のない業者が輸入し、販売・リースすることは禁止されている。医師は治療目的で個人輸入し使用できるが、販売・リースは禁止されている。
 府警は3月、同社の関係先を家宅捜索し、サーマクール26台を押収。同法では販売・リースする目的での保管を禁じているが、府警はこうした目的で置いていたとみて捜査している。
 同社が使用済みのサーマクールの部品を転売し、やけどや水ぶくれの被害が出ていたことが朝日新聞の報道で発覚。厚生労働省は使い回しされた部品を使わないよう呼びかけ、府警に刑事告発していた。
「知らなかった」「監督不行き届き」 機器販売会社長
 販売が禁じられている国内未承認の小じわ取り機「サーマクール」。先端部品の使い回しでやけどや水ぶくれの被害が明るみに出て、国の調査や警察の捜査が始まった。今回、機器本体の違法販売も明らかになったとして、大阪府警は医薬品医療機器法違反容疑で販売会社役員らの逮捕に踏み切った。「安く提供」「安全」。販売会社は医療機関に盛んに売り込んでいたという。
 セイル社代表取締役の坂口時彦容疑者は2月上旬、朝日新聞の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。
 ――販売目的で未承認の医療機器を保有していることは違法ではないか。
 普通のやり方だと、医療機関から注文を受けてから、輸入して納入するまでに時間がかかる。このため、注文を予想して事前に輸入して保管していたケースがあったかもしれないが、私は知らなかった。ただ、このようなことがあったのは事実で不適切な対応だったので、厚生労働省に報告している。
 ――未承認の医療機器の販売は法律違反だとの認識はあったのか。
 日本国内で未承認の医療機器の販売・リースはできないという認識はあった。私の監督不行き届きです。
 ――未承認の医療機器を輸入する際、医師の名前を勝手に使っていたのか。
 怠慢だったとしか言いようがない。医師から委任を受けていると思い、うちの方で印鑑を用意して証明書を作っていたようだ。私は知らなかった。
 ――サーマクールの部品の使い回しで、やけどなどの健康被害が出ている。
 点検と洗浄を行ったものは複数回使用できるはず。ただ、医療機関がどんな使い方をしているかは分からない。(医療機関での誤った使い方が)健康被害の原因にもなりうるのではないか。



(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 残念な事件です。
 サーマクール自体が悪いのではありません。
 素晴らしい機器です。
 加齢を治す⑤
 2013年8月1日の院長日記でご紹介しました。
 私が開業する前に『先生、すごい機器がある』
 …と私に紹介してくださったのが、
 株式会社ジェイメックの創業者で、
 初代社長の森下純一様でした。
 札幌のご出身で、
 私の父と同じ札幌工業高校の卒業生です。
 とても優秀な方でした。
 残念なことに2009年に肺がんでご逝去されました
      ■         ■
 森下社長は現社長の西村様と…
 毎年、米国の学会に視察に行かれていました。
 鋭い目で…
 最先端の医療用レーザー機器を見つけられ、
 日本に導入されました。
 森下社長の一番のヒット商品は脱毛用レーザーです。
 今でこそレーザー脱毛は当たり前ですが、
 当時は形成外科の偉い先生が、
 レーザーで毛が抜けるわけがない!
 どうせ、すぐに生えてくる!
 と言っていいました。
      ■         ■
 森下社長が紹介してくださった、
 すごい器械サーマクールでした。
 ほっぺに当てると、
 中でぐりぐりぐりと作用するのがわかる…
 そんなパワーで若返りさせる機器です。
 サーマクールは魅力的な機械でしたが、
 とても高価で…
 しかも消耗品も超高価でした。
      ■         ■
 保険診療でよいものを安く
 …という札幌美容形成外科では買えませんでした。
 たるみ治療機器の原理は、
 電気やレーザーなどを皮膚表面から与えて
 皮膚の内側にある組織を引き締めます。
 私がよく患者さんに説明する例えです。
 どんなに高価な服でも…
 長年着ていると型くずれして伸びてしまいます。
 新品の服の『ぱりっと感』はありません。
      ■         ■
 伸びた服を仕立てなおすのが外科手術。
 フェイスリフトや
 皮膚切除をするたるみとり手術です。
 効果はありますが、
 時間がかかるし…
 腫れも出ます。
 お金もたくさんかかります。
      ■         ■
 高周波(RF)
 レーザー
 超音波
 さまざまな器械で『たるみ取り』が行われています。
 正直に申し上げると、
 『切る手術』が仕立て直しだとすると、
 機器を使った治療は、
 プレスやアイロンです。
 化粧品では伸びないシワを…
 ちょっとプレスして伸ばしてくれる程度とお考えください。
      ■         ■
 今回の事件は、
 医療機器販売という特殊な事情だから起きました。
 海外から輸入した中古の医療機器販売は厄介です。
 中古の携帯やタブレットはネットでも買えますが、
 医療機器には制限があります。
 医師が個人で輸入した高価な機器は、
 たとえ無料でも譲渡することはできません。
 施術を受ける側にとって、
 安いサーマクールは魅力的ですが、
 安いものには気をつけてください。

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