
顔に10針も縫うケガをしました。何針縫いましたか?など、何針という単位でケガの長さを表現することがあります。実は、この何針という表現には何の医学的な根拠もありません。一針何oと決まった基準はありません。
一般外科しかなかった時代には、おそらく一針3〜5o程度を指したと思われます。ですから顔を10針も縫うケガと言えば、最低3p程度だと推測されます。ところが、形成外科では一般外科で一針縫うところを、3〜5針も縫います。そもそも、この一針という言い方も正確ではありません。
一般的に一針とは糸をかけて一回結ぶことを指します。ところがミシンで縫ったあとのように、連続して縫い目が残ることもあります。連続縫合と言います。
患者様は、皮膚に縫ったあとが見える皮膚表面の糸しか数えられません。ところが一番大切なのは、皮下縫合と言って皮膚の下で縫ってある糸なのです。正確には真皮縫合と言い、真皮の中で縫ってあります。透明な糸や白い糸を使うので表面からは見えません。この真皮縫合でいかに正確にピッタンコに合わせられるかどうかが術者の‘腕’です。
お腹のキズを縫ったとしても、外科の先生がサッサと縫うところを、形成外科医は丁寧にていねいに真皮縫合を繰り返します。私は札幌医大6年生の時に北大形成外科へ手術見学に行って、はじめて形成外科の縫合を見ました。この時、形成の先生は、なんであんなに細かくこまかく縫うのだろう???と思いました。
この目に見えない皮膚の中を、いかに丁寧に縫うかで、キズの仕上がりが決まるのです。
形成外科でキズの程度を表現するには、10×2oのキズと言うように実際の長さで表現します。でも、10針も縫う大ケガの方が何となくピンきますね。
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