
昨日の医師と労働基準法についてのつづきです。医療法で‘病院(20床以上のベッドがある医療機関)’には当直医が勤務することが義務付けられています。例外的に病院と院長の自宅が同一敷地内にある場合は、宅直(タクチョク)といって自宅で当直をすることが認められますが、原則は病院の当直室で勤務です。当直医は夜間も入院患者に対応しなければならないので宅直でも晩酌はできません。
大学病院は各診療科毎に当直医がいますが、一般病院では、20床の個人病院から1000床を超える大病院まで、最低一人の当直医が当直をしています。問題になるのは100床以下の病院です。病院の種類(救急患者を扱うか?老人病院か?など)や規模によって、医師の定数が法律によって決められています。ベッド数が少なければ医師定数が3人でも病院として認可されます。
ところが、3人で当直を回すとなると一ヵ月に最低10回は当直勤務です。ここで労働基準法に引っかかることになります。昨日も書きましたが、労基法では当直は週一回、日直は月一回が限度です。こうなると3人しか医師がいない病院は‘絶対’に違反になります。
厚生労働省HPを調べたところ、厚労省でもこの問題を検討していることがわかりました。平成17年4月25日に行われた第4回医師の需給に関する検討会議事録が検索できました。読むのがイヤになる位、長い冗長な文章です。
この中に労働基準局監督課の庭山監督官の答弁がありました。労働基準局では平成15年から平成16年に、全国47都道府県の596病院で監督実施を行いました。この596病院のうち何らかの法違反があったのが430病院です。違反率72.1%です。
驚くべきとことに、この72.1%という違反率は、病院に限らずどんな事業場でもこのぐらいあると書かれていました。庭山監督官の言葉で『こういう言い方もなんですが、特別な違反率ではありません』と書かれていました。
もし、手術の失敗率が72.1%だったら絶対に手術は受けません。返品率が72.1%だったら企業は間違いなく倒産です。労働基準法は違反するためにある法律でしょうか?
労働基準監督署は‘署’という肩書きがつくお役所です。もし、警察署で違反率72.1%の犯罪を見逃していたら日本はとんでもない国になります。税務署が72.1%の脱税を見逃していたら日本は倒産します。
厚生労働省は医療と労働の両方を監督する官庁です。‘女性は産む器械’と発言していた大臣もいました。政府は、もう少し医療を真剣に考えないと、参議院議員選挙で手痛い目にあうと思います。
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