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札幌美容形成外科院長の日記

手術室の掟(オキテ)

2007年7月10日

 手術室は外科医が技を披露する劇場だと書きました。私たち外科医にとって大切な仕事場が手術室です。総合病院では中央手術部という部門があって、専任の看護師が数十名も勤務している病院もあります。私が麻酔科研修をした昭和57年は、札幌医科大学附属病院の中央手術室には麻酔科専任の看護師さんもいらっしゃいました。
 医師免許を取得して、大学病院に勤務しても何もできません。手術器械の名前すらわかりません。
 通常の手術では、‘器械出し’または‘直接(介助)’と呼ばれる看護師さんが手術につきます。新米の医師は足元にも及ばないほど何でもよく知っていて優秀です。
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 私が医師になって、はじめて手術室に入った北大病院では、看護師さんはグリーンの帽子とマスクをしていました。目元しか見えませんでしが、美人でかっこよかったです。
 私たち研修医は、何もできず、ただ毎日叱られてばかりいるのに、看護師さんはキリっとして実にてきぱきと器械を渡します。術者が何も言わなくても、手術の流れがわかっていて、手を出すと間髪入れずに器械が出てきます。
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 手術室には掟(オキテ)があります。まず、挨拶をすること。しっかり声に出して挨拶をします。
 朝、入る時は『おはようございます』。これはどこでも当たり前ですが、特に手術室では挨拶を重要視します。
 手術を始める時は、『おねがします』と術者が言って、他の全員が『おねがいします』と復唱して始まります。これから手術を始めるので、麻酔科の先生、看護師さん、助手の先生、みなさんよろしくお願いします。という意味だと思います。
 テレビドラマなどでは、イケメンの先生役が『メス!』なんて言いますが、私は言ったことも聞いたこともありません。
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 メスにもいろいろな刃の形があるので、形成外科では『15番(ジュウゴバン)』とか『15番お願いします』と言って始めます。15番というのは形成外科で好まれる小型のメスの刃です。メスの刃は替刃式になっています。
 メスを入れる前に、消毒をして、被布(オイフ)という清潔な布をかけて、局所麻酔の注射をします。
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 手術が始まってからは、術者は原則として術野しか見ません(術野に集中しています)。術者が手を出すと、器械を術者の手にポンと渡してくれます。このポンが上手にできる人は優秀です。慣れない間はぎこちなくなります。
 手術が終了すると『ありがとうございました』と術者が言って、最初と同じように全員が『ありがとうございました』と復唱しておしまいです。
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 病院の他の部署と異なるのは、手術という一つの仕事をチームプレーで手際よく行うことです。そのため挨拶とか、作法が重んじられるのだと思います。
 美容外科診療所(クリニック)は総合病院の手術室とは雰囲気が異なるところもありますが、私はしっかり挨拶をして、礼儀を重んじる手術室の掟が好きです。


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