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札幌美容形成外科院長の日記

2008/1/9 水曜日

チンの皮で気管を作る

カテゴリー: 医学講座 — admin @ 11:59 PM

 包茎手術についての日記が続いています。
 今日のお話しは、少し学問的な話しです。
 包茎手術から得たアイデアで、私が考えた独創的な手術法です。
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 タイトルは、チンの皮と書きましたが、包茎手術で切除した皮膚のことです。
 この余分な皮膚を使って、気管に穴が開いてしまった人の手術法を考案しました。
 この研究は、私が札幌医大に在籍していた時に考えたものです。
 日本形成外科学会でも発表しました。
 PRSという、米国の権威ある雑誌にも掲載されました。
 私が死んでも、後世に残る手術法だと考えています。
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 次の写真は、甲状腺ガンの手術で気管に穴が開いてしまった方です。
 手術が失敗したのではなく、気管にガンが浸潤(シンジュン:入り込むこと)していたので、気管も取る必要がありました。
 ガンは手術で治りましたが、首に穴が開いているため声が出ません。
 お風呂に入っても、水が入ってしまいます。

pre.jpg

手術前です

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手術後です

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 この穴をふさぐ手術は、一見簡単そうで、とても難しい手術です。
 なぜ?難しいかというと、気管という空気の通り道だからです。
 呼吸をする時は、肺に空気を吸い込みます。
 息を出す時には、肺から空気が出て、それが声帯を通る時に声が出ます。
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 気管は気管軟骨という軟骨と粘膜でできています。
 かなり頑丈に作らないと、圧で空気が漏れます。
 薄い皮膚だけでふさいでも、圧がかかると漏れたり破れたりします。
 気管の内面には、粘膜があります。
 すべすべの粘膜がついていないと、痰がうまく出ません。
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 ですから、気管を再建する時には、硬い骨と薄い粘膜を使う必要があります。
 もともと、この気管再建は耳鼻科の先生の分野でした。
 耳鼻科の先生は、気管再建につかう粘膜を鼻や口から採取していました。
 ちょっと口の中にキズができても痛いですね。
 風邪をひいて、鼻水が出るだけで具合が悪いものです。
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 気管を再建するのに、鼻や口をキズつけないでできないでしょうか?
 と耳鼻科の優しい女の先生から相談を受けたのがきっかけでした。
 気管粘膜の代わりに皮膚を使うと、毛が生える恐れがありました。
 皮膚を採取した部位にもキズが残ってしまいます。
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 たまたま、気管再建を予定していた方は男性でした。
 最初に私が考えたのは、どこかに毛が生えない皮膚はないか?
 ということでした。
 鼻や口の中を切ると、かなり辛いものです。
 毛の生えない皮膚として、私の頭に浮かんだのが、包茎の皮でした。
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 チンの皮で気管を再建するのは、私が世界ではじめてでした。
 私は、この話しを、主治医の優しい先生にお話ししました。
 その後、耳鼻咽喉科の氷見(ヒミ)教授にお話ししました。
 主治医の先生も氷見教授も賛成してくれました。
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 患者様とご家族にもお話しし、ご説明いたしました。
 世界ではじめての手術でしたが、十分に成功する見込みがありました。
 鼻や口を切らなくてもよいので、患者様にもメリットがありました。
 こうして、チンの皮を使って、気管に開いた穴をふさぐ手術は成功しました。
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 日本形成外科学会で発表した時に、女性はどうしますか?と質問されました。
 女性でしたら、小陰唇の皮膚を使うと毛が生えません。
 包茎手術も小陰唇縮小手術も美容外科医でなければ生まれない発想です。
 鼻や口にキズをつけるより、患者様はずっと快適に手術を受けられます。
 次の英文が、PRSに掲載されたタイトルと要約です。
 気管に穴が開くことはめったにないことです。
 今はもう自分ですることはありませんが、
 私の手術法は、後世に残る手術法だと思っています。
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 A Prefabricated Osteocutaneous Flap for Tracheal Reconstruction
Homma, Ken-ichi M.D.; Himi, Tetsuo M.D.; Shintani, Tomoko M.D.
Plastic and Reconstructive Surgery:Volume 111(5)15 April 2003pp 1688-1692
Sapporo, Japan
From the Chuoh Clinic of Cosmetic and Plastic Surgery, the Department of Otolaryngology, Sapporo Medical University.

Reconstruction of tracheal defects is a challenging problem for plastic surgeons and ear, nose, and throat surgeons. There should be a stable framework that is tolerant of negative pressure. The tracheal surface should be epithelialized to prevent granulation tissue growth and wound infection, and a stable and supportive framework is necessary to provide an airtight seal and normal phonation. We grafted penile skin on the periosteum of the clavicle to function as a tracheal surface epithelium. After a 4-week interval, the composite skin-periosteum-bone-muscle flap was used as the material of the tracheal reconstruction. The aim of this article is to present our operative procedures and the results.

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