医学講座

手から毛が生える

 手をヤケドした子供さんに鼠径部(ソケイブ、おへその外下方)から皮膚を移植しました。一見キレイに見えますが、皮膚の色調や質感が違います。
 6月13日にも解説しましたが、皮膚移植には全層植皮(ゼンソウショクヒ)と分層植皮(ブンソウショクヒ)の2種類があります。厚い全層植皮が薄い分層植皮よりも、キレイで質感のよい状態になります。移植する部位と、なるべく同じ性質の皮膚を選ぶと目立たなく自然になります。ですから、指には足の裏から移植すると目立ちません。ただ足の裏から採取できる皮膚の大きさには制限がありますし、足の裏から皮膚を採取すると歩く時に痛くなります。
 全層皮膚を採取した部位はキズができます。キズを縫い合わせるか、他の部位からまた植皮をします。つまり植皮のために皮膚を採取して、またそこに皮膚移植が必要になります。こんなにめんどくさいことをするのは、皮膚の色調や質感を合わせるためです。
 全層皮膚を採ると採った部位は縫い合わせてキズをふさぎます。一番多く全層皮膚を採る場所が鼠径部です。皮膚が伸びやすいので、採っても周囲から皮膚を寄せて縫えるのです。どんなに丁寧に縫ってもキズが残るため、なるべく下着で隠せる範囲から採ります。この時に問題になるのが毛です。
 鼠径部からは思春期になると毛が生えます。毛深い方ですと、女性でもおへそまで毛が生えます。移植しても皮膚は元の場所の性質を引き継ぎます。指に移植した鼠径部の皮膚からも、思春期に曲がった毛が生えることがあります。
 年ごろの娘さんの指から曲がった毛が生えたら大変なので、形成外科医は赤ちゃんの指に皮膚移植をする時にも気を使います。私は女の子だったらお母さん。男の子だったらお父さんのお腹の毛を見ます。親が毛深い方は、赤ちゃんも将来毛深くなる可能性が高いので、指に移植する皮膚も毛が生えないと予測できる範囲から採取します。
 下着で隠せる部位から採っても毛が生えたら困ります。毛が生えそうな人は下着からはみ出ても、毛のないところから採ります。もし指から曲がった毛が生えてきたら、レーザーで脱毛するとなくなります。

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