医学講座

記憶のあリか

 平成22年8月4日、北海道新聞朝刊の記事です。
 生きるしくみ<193>
 當瀬規嗣(とうせ・のりつぐ)
 記憶のあリか
 前頭葉に〝端緒〟蓄積
 最近、人の名前が出てこなくなることかあり、イライラします。とくに昔は覚えていた歌手や俳優の名前など、「アレアレ…」なんて感じです。顔まで浮かんでいるのに…。ところが、何かの拍子に急に思い出して「あっ!誰々だ!」。つまり、忘れていたのではなく、思い出せないのです。名前の記憶は脳の中にあるのだけれど、うまく利用できないのです。
 では、記憶は脳のどこにしまってあるのか、ずっと研究者の注目の的でした。最近までに、ぼんやりと分かってきました。記憶は額のあたり、つまり大脳の前頭葉と呼ばれる場所にためられるらしいのです。ただ、記憶の事柄全体ではなく、その一部あるいは思い出すキッカケになる部分だけためられているようなのです。
 これを記憶痕跡(工ングラム)と呼びます。どうも、この記憶痕跡をたびたび引っ張り出して使っておかないと、奥の方にしまわれてしまい、出てこなくなるようなのです。逆に思い出す行為は記憶を再生させ脳を活性化するので、物忘れ対策にはいいようです。
 かつて「記憶痕跡が物質だったら、それを脳に注入すれば勉強しなくてもいい!」なんて、学生さんには魅力的な仮説で盛んに研究されていましたが、現在のところ、そんな物質は発見されていません。記憶痕跡の正体はまだ分かりませんが、おそらく、いくつかの神経回路の組み合わせではないかと思われます。
 では、その回路を作るにはどうすればいいのか? 残念ながら、勉強して覚えるしかないようです。「学問に王道なし」。金言であります。
 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部教授)
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 當瀬(とうせ)先生の記事はわかりやすく、
 毎週水曜日の北海道新聞を楽しみにしています。
 もう193回も連載されていらっしゃいます。
 當瀬先生は北大60期、
 昭和59年卒です。
 私より5歳も若い先生です。
 とても優秀で…
 医学部長まで歴任されました。
 (とてもよい医学部長です)
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 その當瀬先生ですら…
 最近、人の名前が出てこなくなることかあり、イライラします。
 と書かれていたので、
 正直なところ…
 私だけではなかったのか…?
 とホッっといたしました。
 あの優秀な當瀬先生ですら、
 50歳を超えると名前が出てこなくなる…
 私があれアレ
 あれしか出ないのも無理はありません。
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 當瀬先生は
 札幌鉄道模型倶楽部のメンバーでも有名です。
 難しい学問ばかりされているのではなく、
 鉄道模型が趣味というところが、
 先生らしくなくていいです。
 私も、
 趣味の園芸を続けようと思います。
 それにしても、
 思い出せないことが多くなりました。

“記憶のあリか”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    先生私もです。テレビで出てきた人 顔は思い出すのに名前が、出てこなくて あれあれ○○た。う〜ん違う。思い出せない。がしばしば。 母の年代になると 鞄どこに置いたか?ハサミは?とひどいもんです。 一番困る事は、半年ぶり以上会っていないお得意様の名前を忘れた時で、名前には触れないようにしながら 何とか 頭の隅からひっぱり出しています。先生は記憶力も私より”年上”なのにずっといいと思います。 だって昔の恩師、同級生や幼なじみ、患者の方々の名前がいっぱいblogに出てきますもの!

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