医学講座

医療行政に翻弄される病院2016

 お正月から病院のことを書きました
 日本の保険医療システムは世界でもトップクラスの、
 いい医療と言われています。
 お金持ちも、
 生活保護の方も、
 同じ水準の医療を受けられます。
 貧富の差が出るのは、
 差額ベッドの病室くらいです。
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 形成外科と保険診療
 2011年6月15日の院長日記です。
 マイケル・ムーア監督の、
 Sicko(シッコ)という映画があります。
 DVDにもなっています。
 こちらのブログで紹介された記事です。
 ある中年の大工さんが不運にも仕事中に二本の指を切断してしまった。健康保険のない彼は、医師から素晴らしい選択をせまられた。
 「中指をつなげるなら6万ドル、薬指なら1.2万ドル」
 この大工さんはロマンチストだったので、薬指を選択。お別れした中指の方は、新居にお引越し。サヨナラ・・・、、、失われた中指の移転先はどこかって?そこは、ゴミ集積所だった。
 これは、米国のマイケル・ムーア監督の新作映画『シッコ』の笑える一場面である。
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 今の日本では、
 健康保険で指をつなぐ手術が受けられます。
 もちろん生活保護の方も受けられます。
 おそらく、刑務所内作業で、
 囚人が指を切断したとしても手術が受けられます。
 私は、受刑者の手術をしたことがあります。
 私は受刑者でも指をつなぐ手術が受けられる、
 日本の医療システムはいいと思います。
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 日本の医療財政が破綻しつつあるのは、
 指つなぎの手術のためではありません。
 高齢化のためです。
 膨大になった医療費を、
 何とか削減しようと躍起です。
 その政策のために、
 さくらんぼさんが指摘されたように、
 入院と同時にくらい退院の話です
 儲からない老人や患者は長くいるなということです。

 これが今の病院の実態です。
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 私と同年代の病院長は、
 いかに紹介率を上げるか?
 平均在院日数を減らすか?
 そんなことで翻弄されています。
 患者さんのためのいい医療というより、
 何とか病院の赤字を増やさないように…
 これが一番の悩みの種です。
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 私たち臨床医の間では、
 今の臨床研修システムができた時から、
 大学の医局に入る先生が減ることを予測していました。
 マッチングというお見合いみたいなシステムです
 これで医学生が大学に残らなくなりました
 困った国は、
 専門医システムを変えて、
 大学以外では専門医を取得しにくい政策を考えています。
 姑息的な方法だと私は思っています。
 これからも病院長や主任部長の苦悩は続くと私は思います。

“医療行政に翻弄される病院2016”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    病院側の立場もわからないではないのですが、入院説明で おわかりのようにお父様のような方々が長く居られると赤字になるので最長でも2ヶ月、と言われましたが途中で担当看護師と生活支援なんたら係に、もうリハビリも必要ないので1ヶ月過ぎたあたりに退院の話がでましたが、リハビリの先生にリハビリは終わったのか、もう必要ないのかと聞いたら、リハビリの先生が怒って 看護部長に話してくださり、看護部長が私に謝罪してくださり、 施設が決まるまで居てよいことになりました。ただ思ったより早く施設から連絡があり退院しました。 儲からないから早く出ろと言われても まだリハビリすればよくなる可能性がありました。 退院しても家を改築したりで大変になります。かといって 施設は 高額な施設は別として市内の施設はどこも満床で いつ入れるかわかりません。 このような社会になっていますが本間先生はどのようにしたら今の現状を変えられるとおもいますか?

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私は老人介護の専門でもなく老人病院の経営者でもないので今のところはよい考えはありません。ただ一つだけはっきり言えるのは、国の政策は利益誘導型だということです。病院の紹介率が高くなると儲かる報酬体系をつくると、ずる賢い経営者は外来部門を独立させて、大きな病院の横に○○クリニックというのを作りました。いたちごっこです。もうけたところからはがっぽり税金を取るとか何かいい政策があると思います。外国の医薬品の許認可も考える余地はあります。国民の不安のを取り除く政治がいいと思います。申し訳ありませんが名案はすぐに思いつきません。

  2. まみ子 より:

    先生、明けましておめでとうございます。

    私は、今日が仕事はじめでした。すごい人数の患者さんでクタクタです。国がどんなに姑息的な手段を考えようが、現場の目標は患者さんがここの病院・クリニック・診療所を選んで良かったと思ってくれる事、安心して帰っていただく事ですね。

    今年は札幌で新年を迎えました。ドリカムの年越しライブがあったので2日まで札幌に居ました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    謹賀新年、今年もよろしくお願いいたします。たくさんの患者さんにいらしていただけるのはありがたいことですね。

  3. なっちゅん より:

    専門医でも信用のできないお医者様がいると先生はおっしゃっってたので
    なるほどと思ってましたが
    それでも専門医がいいです。

    国はあらゆる政策で医療費の削減をしてますね。
    母も意識不明なのにインフルエンザの患者さんが増えるから
    と言われ
    病院を追い出されました。

    昨年の今日、母が亡くなりました。
    ずいぶん経ったように思えます。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。お母様の命日だったのですね。ご冥福をお祈りしています。

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