医学講座

第33回北大形成外科アカデミー

 昨日も今日も大雪の札幌です
 札幌の積雪は一夜にして63センチになりました。
 飛行機は欠航、
 JRは遅延、
 道路は大渋滞です。
 北国の宿命とはいえ、
 大雪は大変です。
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 そんな大雪の昨日、
 2016年12月10日土曜日、
 第31回北大形成外科アカデミーと忘年会がありました。
 年末の北大形成外科アカデミーには毎年出席しています
 昨日は関連病院からの教育研修施設リポート
 市立札幌病院形成外科、川嶋邦裕先生、
 斗南病院形成外科、佐々木 了先生、
 大学院生の発表、
 特別セミナーがありました。
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 特別セミナー
 形成外科キャリアシンポジウム、
 『医療人としてのロールモデル
 ①東北医科薬科大学医学部生理学教室教授に就任された、
 河合佳子先生の、
 形成外科と生理学をつなぐもの
 ②函館中央病院形成外科
 木村中(きむらちゅう)先生の、
 一般病院での形成外科治療の臨床研究
 2つの講演がありました。
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 どれも勉強になりました。
 今日は、
 教育研修施設リポートで、
 市立札幌病院形成外科の
 川嶋邦裕部長からお聞きした、
 形成外科における血行再建の話しを書きます。
 患者さんはかなり高齢で、
 足のゆびが壊死になってしまった方でした。
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 足のゆびが壊死になる理由は、
 血管が詰まってしまって、
 血流が途絶えるのが原因です。
 植物が枯れるのと同じです。
 植物は水が葉に届かないと、
 枯れてしまいます。
 枯れた葉っぱは取らないと腐ります。
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 私たち形成外科医は、
 枯れた枝や、
 枯れた葉を、
 丁寧に取るのが仕事でした。
 葉に水が届くようにする、
 根をなおしたり、
 幹をなおしたりするのは、
 形成外科ではあまりやっていませんでした。
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 昨日の市立札幌病院形成外科、
 川嶋邦裕先生のお話しをお聞きして、
 とても驚きました。
 最近は、
 循環器内科で血管内治療をして、
 それでダメな時は、
 形成外科で静脈移植をして、
 下肢の血行再建をするのだそうです。
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 私の時代には、
 静脈移植による血行再建は、
 心臓血管外科の仕事でした。
 静脈移植は、
 一度静脈を取り出して、
 それを上と下を逆にして、
 動脈につないで、
 血行再建をしていました。
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 昨日お聞きしたお話しでは、
 今は形成外科で手術をするそうです。
 しかも、
 静脈は取り出さずに、
 in situ(いんさいちゅう)
 …という方法で血行再建をします。
 そうすると、
 傷が少なくて済みます。
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 静脈には、
 静脈弁という弁があります。
 カテーテル治療で静脈弁を処理して、
 ちゃんと血液が流れるようにします。
 昨日見せていただいた患者さんは、
 足のゆびが壊死になっていたのに、
 血行再建後にはピンク色の足になっていました。
 壊死になっていた足趾は切除しましたが、
 ちゃんと歩けるようになっていました。
 すごいことです。
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 今日の内容は少し専門的すぎますが、
 下肢の血行再建も、
 形成外科でやる時代になったのだなぁ~
 …と、
 とても感慨深くお聞きしました。
 これからも、
 低侵襲で、
 傷が治る治療の開発が続くといいです。
 足のゆびが壊死になったら、
 市立札幌病院形成外科です。
 形成外科が枯れた葉を取るだけの治療から、
 根や幹の治療までする時代になり、
 感慨深いものがありました。

“第33回北大形成外科アカデミー”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    インサイチューとはそのカテーテルを使った低侵略手術のことなのですね。 形成外科はどの科にも通じていて すべてを網羅してないとできない科なんですね。患者に負担の少ない手術がこれからも増えるといいです。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。in situ(いんさいちゅう)は『生体内の本来の場所で』という意味らしいです。この場合は静脈を取り出さないでそのままの場所において動脈の代わりに血液を流すという手術です。傷の箇所が少ないので回復も早く約2週間で退院していました。形成外科は細い血管を顕微鏡で縫うのが得意なのでこの手術も上手にできます。私の時代には考えつきませんでした。時代が進歩したものだと驚きました。

  2. すみれ より:

    医学は進化しているのですね。難しい病気ばかりですが、いつ自分がかからないともわからない。でも、手術の方法を読んでいると安心します。院長日記で学ぶ事ができます。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。今日の内容は専門的すぎるのですが、形成外科で担当している手術が増えているということです。私たちは細かい手術を丁寧にするのが得意です。血管も手術用顕微鏡を使って丁寧に縫います。昔でしたら切断していた足を切断しないで治しています。桑園の市立札幌病院形成外科はおすすめです。

  3. なっちゅん より:

    足を切断しないで済むのなら
    明るい未来が見えますね。 

    元同僚が足を切断し
    鬱病になりました。
    義足も大変そうでした。

    医学の進歩で
    形成外科は違う分野の手術もできるようになったのですね。
    患者さんにとって素晴らしいことだと思います。

    投稿遅くなり申し訳ありませんでした。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。足を切断しなくても済むのはありがたいことです。義足に慣れるまでリハビリも必要です。形成外科も進歩したものだと思いました。体調が悪い時は無理をなさらないでください。ありがとうございます。

  4. くくるん より:

    そういえば、近くの総合病院でフットケア外来というものもある病院がやっていました。
    形成外科と循環器内科がチームになって足など壊死した人を見ているそうです。
    ただ、循環器内科でのカテーテル治療でも足の壊死状態が治らず、結果的に切断になる方も少なくはないようです。
    インサイチュウという血行再建は初めて聞きました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私の恩師大浦武彦先生が厚生労働省に働きかけてできた足病の治療です。カテーテル治療でよくならない人に血行再建をします。最初から切断のこともありますが、患者さんにとっては希望が持てるようになりました。

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