医学講座

命扱う外科医に感じた謙虚さ

 平成29年12月5日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
 命扱う外科医に感じた謙虚さ
 無職 木佐美元子(栃木県 76)
 このたび肺の手術をした。主治医は30代前半の若い医師。ベテランの外科医とチームを組み、執刀していただいた。
 数日して抜糸をする時、聞いてみた。「人の体を切ったり取ったりするって、どうですか」。すると彼は神妙な顔で「何で医者なんかになったんだろうと思いますよ」と言う。「快感や達成感はないんですか」と尋ねると、「失敗したらどうしようと思うばかりです」。
 私は感銘を受けた。人間は失敗する生き物だ。だが人命を預かる医師は失敗が許されないとされる。命を扱うことへの恐れと謙虚さがなければならないのだろう。看護師の話では、彼は気になる入院患者がいると、朝の6時半ごろには病棟に来るらしい。生徒が教師を育てると言われるように、患者が医師を育てる一面もあるのかもしれない。
 今も通院中だが、主治医の顔を見るとホッとする。術後の痛みに悩む私を支えてくれる精神安定剤のような人だ。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 今日は朝から気分がいい投稿を読ませていただきました。
 栃木県の木佐美元子様の主治医は、 
 間違いなくいい先生です。
 私も30代の時は、
 何で形成外科医なんかになったんだろう
 …と思ったことがありました。
 私が手術をした患者さんの、
 植皮が生着しませんでした
      ■         ■
 今から考えても、
 失敗ではありませんでしたが、
 植皮が落ちたことに間違いなく、
 患者さんは再手術になりました。
 命にかかわることではありませんが、
 患者さんにはキズが増えてしまいました。
 落ち込みました。
 婦長さんに励ましてもらいました
      ■         ■
 投稿者の木佐美元子様の主治医のように、
 失敗したらどうしよう
 …と思っている先生は、
 失敗しません
 逆にドラマのように、
 私、失敗しないので
 …の先生は失敗します
 外科はチーム医療なので、
 こんな先生と働くのは疲れます
      ■         ■
 私も30代は休み無く働きました。
 自分が手術をする前には、
 とても緊張しました
 指導する立場になってからは、
 下の先生が、
 たとえ失敗しても、
 それを軌道修正して、
 成功させていました。
 投稿者の木佐美元子様が書かれているように、
 命を扱うことへの恐れと謙虚さ
 …はいつも忘れていません。
 木佐美元子様のご回復をお祈りしています。
 いいお話しをありがとうございました。

“命扱う外科医に感じた謙虚さ”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    そんな医師が増えてくれるといいですね。外科医ではありませんが、父もまた終末期医療にお世話になり たんが絡むたびにモニターが消え吸引。意識はなく目も開けっ放しでアイマスクはしてますが酸素5Lは最大です。夜は昨日は長男、一昨日は次男がみてくれましたが、日中は妹。夜は私です。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    大変な時にコメントをいただきありがとうございます。お父様の容態は心配ですが、理学療法士になられたご長男、看護師の次男の方に夜についていただけたなんて最高ですね。私は自分の父親が亡くなる時には仕事をしていました。iPhoneのFaceTimeで見ていました。医者は自分の親を看取ることができないと言われています。

  2. なっちゅん より:

    「私、失敗しないので」は
    医療物なので、毎週見ていますが
    私的にはマンネリ化してるように思います。

    ですが視聴率が好調で
    次回のクール(1月ではないと思います)も
    決定したようです。

    このような先生と一緒は疲れるでしょうね。
    やりにくいですよね。
    チーム一丸となって望んで欲しいです。

    セカンドオピニオンの
    以前の日記も拝読させて頂きました。

    昨日の日記といい今日の日記といい
    感動しました。
    いいお話を紹介して頂きました。

    おごらない先生がいいですね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。優秀な外科医は謙虚です。いつも手術のことを考えています。ドラマと現実は違います。

  3. すみれ より:

    人の命を扱うから大変な問題ですよね。何事も失敗の上に成り立つと思うけれど、失敗して人生を奪われてしまうほうのことを考えると複雑なものがあります。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。手術は飛行機の操縦と同じで【絶対に墜落はダメ】なんです。実際の医療現場ではミスや失敗があります。リスクマネージャーという役職がありますがとても疲れます。

  4. さくらんぼ より:

    なっちゅんさん、私も「ドクターX」は観てますが、先週から観れなくなりましたが、現実離れしてますよね。「こうのどり」の方が 患者に寄り添う産科医ですが、なんで忙しいこうのどり先生が天才ピアニストベイビーで夜弾けるのかが不思議ですね。今日はドクターX、明日はこうのどり ですね。

  5. なっちゅん より:

    さくらんぼさん

    お父様、大変でお辛いですね。
    余命宣告されたそうですが
    意識が戻ってほしいです。

    せめてお父様が苦しくありませんように
    願うばかりです。

    ドクターX、浮世離れしてますよね。
    毎週毎週あり得ません。

    そうなんです、コウノドリの方が断然面白いです。
    綾野剛さん演じるお医者様に癒やされてます。
    さくらんぼさんが好みの俳優さんだったなぁと
    思って見ていますよ。

    さくらんぼさんに言われてみたら
    本当にピアニストをしてるのは
    おかしいかもしれませんね。
    気がついてませんでした。

    ただ、前シリーズでは白いメッシュの髪型だったのに
    今シリーズでは黒髪になったなぁと思ってました。
    私の視点がずれてました(笑)

  6. くくるん より:

    歳をとって経験を積んでも自信過剰になったり、おおごらないことが大切ですね。
    特に医者の場合は。
    命は戻ってこないですから。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。どんなに経験を積んでもいつも注意して手術をしています。間違って患者さんを助けるどころか傷つけると大変です。朝早くから来て患者さんのところに行っている先生は立派です。

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