医療問題

障害年金

平成19年11月29日(木)朝日新聞朝刊の記事です。
 障害年金受けるには
 うつ病や糖尿病でも
 ポイントは初診日と認定日
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 人生に病気やけがはつきものです。障害が残ったとき、生活の支えとなるのが障害年金。
 生まれつきの障害だけではなく、がんや糖尿病などでも場合によっては受けとれるのですが、知らずに請求していない人もいるようです。
 自分は関係ないと思っていませんか?
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 年金は、年をとってからもらうものと思いがちだ。
 しかし、それだけではない。病気やけがで心身に障害が残って働きにくくなった場合に収入を保障するのが障害年金だ。
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 ただ、この制度自体があまり知られていない。
 障害年金に詳しい社会保険労務士の藤澤貴司さんは
「もらえるはずなのに請求していない人は、少なくないはず」。
 その大きな理由は「障害」という言葉が、一般には狭く解釈されているからではないかという。
 障害年金の対象は手足が不自由な人だけではない。がんや生活習慣病、うつ病などでも、労働や日常生活が制限を受けていると認められれば、年金が出る。
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 認定は、障害者手帳の基準などとは異なる独自の基準に従って社会保険庁がする。
 障害等級により年金額が変わる。
 全国民が対象となる障害基礎年金は2級まで、会社員が在職中の病気やけがで障害をおった場合に受け取る障害厚生年金には3級も加わる。
 例えば、心臓病でペースメーカーを入れていれば3級、糖尿病による腎症で人工透析が必要なら2級が目安となる。
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 社保庁によると、障害基礎年金の受給者は2005年度末で152万人、障害厚生年金は35万人だった。
 障害年金の受給の仕組みでは、初診日と認定日が重要だ。
 初診日は、その障害の原因となった病気やけがで初めて診察を受けた日。それまでに保険料をきちんと納めていることが、受給条件だ(初診日が20歳未満の場合をのぞく)。
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 認定日は
①基本は初診日から1年半後
②それ以前に症状が悪化も改善もしない状態になったらその時点で、障害の程度を判断することになる。
 所定の診断書を医師に記入してもらい、社保事務所に出す。
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 老齢の基礎年金と障害基礎、老齢厚生年金と障害厚生を両方はもらえない。ともに条件を満たす人は、どちらかを選ぶことになる。
 額は障害基礎は定額で、2級が老齢基礎の満額(40年加入)と同じ年間792,100円なる。
 障害厚生では認定日までに納めた保険料が年金額に反映する。
 誰もがいつ障害年金を受ける立場になるか分からない。生活習慣病では長い間に症状が悪化するのが一般的だが、初診日がいつだったかは年金を請求する側が証明しなければならない。
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 特に障害厚生では、初診日が会社勤めの期間中だったかが重要になる。
 カルテの法定保存期間は5年。転院などしていれば証明が難しいことも少なくない。
 社労士の藤澤さんは「退職が近く、体調がおかしいと思う人は、退職前に病院に行った方がいい。
 万一、障害厚生年金を請求するときの初診日になる。診察券や記録も残しておくこと」と助言する。(山田史比古)
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 どんな人が受けられる?(認定基準の一部)
一級:両目の矯正視力が合計0.04以下、両上肢のすべての指を欠く、座っていること、立ち上がることができない
二級:両目の矯正視力が0.05以上0.08以下、 平衡機能や音声、言語機能に著しい障害、そしやく機能を欠く
三級:両目の矯正視力がともに0.1以下、そしやくまたは言語に相当の障害、労障害基礎年金
(以上、朝日新聞より引用)
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 私は市立札幌病院と帯広厚生病院に勤務していた時に、育成医療と身体障害者の指定医になりました。
 形成外科で障害者の診断書を書くことはマレです。
 20歳になって、国民年金に加入していなかったため、脊髄損傷で障害者になったのに障害年金を貰えなかった大学生は知っています。とてもお気の毒でした。
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 恥ずかしい話しですが、身体障害者の等級と障害年金の等級が、同じ症状でも異なることは、この記事を読むまで知りませんでした。
 決して多い額ではありませんが、せっかくある制度ですから有効に利用なさってください。

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