医療問題
医師臨床研修
平成19年10月19日、北海道新聞朝刊の記事です。
道内の医局離れに歯止め 医師臨床研修、来春34人増 人材不足なお深刻
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来春、医師となる医学生と病院側の希望を考慮し、臨床研修を行う病院を決める「マッチング」の結果が10月18日公表され、8,030人の研修先が決まった。
大学病院の占める割合は前年比0.3ポイント増の49.1%と微増だが、3年連続で半数割れとなった。道内は大学病院の割合が同7.7ポイント増の43.4%と伸び、研修医の大学離れに一定の歯止めがかかった形だ。
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研修先が道内の病院に決まったのは325人。うち大学病院は
・北大69人 (前年比12人増)
・札幌医大52人 (前年比13人増)
・旭医大20人 (前年比9人増)
の計141人(前年比34人増)だった。
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募集定員に対し、実際に受け入れる医学生の割合(充足率)は
・北大が86.3% (前年比31.5ポイント増)
・札医大が75.4% (前年比33.9ポイント増)
・旭医大が51.3% (前年比25.1ポイント増)
と前年を大きく上回った。大学を通じて地域医療に携わる医師の養成が期待される。
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全国の大学病院の充足率の平均は71.6%で、100%となったのは東大、神戸大、慶応大など18病院だった。
希望登録した全国の医学生は8,291人で、うち96.9%の研修先が決定。以前は70%前後を占めていた大学病院は、新制度導入後、58.8%、52.7%、48.3%と三年連続のダウンとなったが、今回は49.1%と少し上向いた。
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病院の募集定員は11,563人。充足率は民間や公立など市中病院67.5%、大学病院71.6%。都道府県別の充足率は最高が東京の86.7%。道内は64.5%と、全国平均の69.4%を下回っており、医師不足は依然深刻だ。
充足率を大きく伸ばした札幌医大病院は、2006年度から専門とする診療科を研修途中で変更できる制度を導入した。
同病院臨床研修センターは「研修生の意向を尊重する姿勢を道内外でPRしてきたことが奏功した。ただ研修医の大学離れは全体では続いており、今後も楽観視できない」としている。
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2004年度に導入されたマッチングは、医学生の研修希望と医療機関の受け入れ希望の順位を登録しコンピューターで合致させて決定する仕組み。
(以上、北海道新聞より引用)
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一般の大学生は、3年生の秋頃から就職活動が始まります。医学生は、6年目に、自分が臨床研修をする先を決めます。その病院の試験や面接を受けます。病院によって給与や待遇・研修システムが違います。
学生と病院の双方から、希望順位を医師臨床研修マッチング協議会へ登録します。
優秀な学生を選ぶのは病院の権利。良い病院を選ぶのは学生の権利です。
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一人の優秀な学生が、たくさんの病院から‘内定’をもらい、次々に内定を蹴ってしまっては、臨床研修制度は成り立ちません。
学生と病院の希望をコンピューターが判断し決めます。これが今の臨床研修病院を決めるシステムです。
私の時代には大学病院を選ぶ学生が大部分でした。現在の医師不足の原因の一端は、この臨床研修制度にあると言われています。
平成19年2月2日の日記‘医師引き上げ’にも記載してあります。
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一般の大学生が将来性があり、夢があり、有名な企業に就職を希望するのと一緒で、現代っ子の医学生は3Kを嫌います。
学生や研修医は勉学の傍ら、先輩医師の仕事ぶりや生活をよく‘観察’しています。
・子供や家族と別れて一人で単身赴任
・毎日朝から深夜まで働いても
・住民からちょっとしたことで苦情が来る
・最後にバーンアウトしてしまう
僻地の医者が嫌われるのは、こうした‘観察’の結果です。へとへとに疲れて、疲弊している先輩を見て、誰もそのようになりたいと思いません。
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大学も一般病院も、学生や研修医に、‘夢とロマン’を持てるような将来像を示せないと、決して‘人’は集まってきません。
内紛でゴタゴタしている会社に就職する人がいますか?今にも倒産しそうな会社に就職する人がいますか?
厚生労働省のお役人に、医師が希望を持って働けるような制度を確立していただきたいと願っています。