昔の記憶

幼少時の記憶

 私は誕生日にも書きましたが、昭和29年9月に市立札幌病院で生まれました。
 生まれた時に住んでいたのは、札幌郡手稲町字金山栄町というところでした。今の札幌市手稲区金山です。
 現在は北海道の子ども総合医療・療育センターがあります。
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 私の父は薬剤師で、三菱砿業㈱という炭鉱会社の結核療養所に勤務していました。現在は手稲ロイヤル病院になっています。
 手稲金山は、昭和12年から昭和24年まで三菱砿業㈱によって金の採掘が行われました。昭和16年が最盛期で、東洋一と言われた選鉱場ができたのもこの頃です。
 今でも札樽自動車道、金山パーキングの山側にその遺残があります。
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 私が育った頃の手稲金山は、手稲鉱山が規模を縮小し、ゴーストタウンになりかけていたそうです。
 当時の手稲町長と道庁が知恵を絞って、鉱山住宅の跡を利用して、北海道の職員住宅を作りました。
 私が子供の頃は、毎朝、北海道の職員送迎バス(道バスと呼んでいました)が道庁まで職員を送迎していました。
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 父が勤務していた、結核療養所も、もともと三菱砿業㈱が鉱山でケガをした人のために作った病院でした。
 そこを結核患者のサナトリウム(療養所)として整備していました。
 芝生の前庭がある白い壁の建物で、裏には星置川が流れていました。池があって、大きなコイが泳いでいました。
 とてもキレイな療養所でした。内科、外科があり歯科の先生も北大からいらしていました。
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 職員の社宅が、少し離れたところに建っていました。
 大きな塀のついた戸建が3軒。2軒長屋が3棟。芝生の庭がついたお屋敷が一軒ありました。
 大きなお屋敷が、大塚先生という所長さんの家でした。戸建は内科部長、外科部長、事務長さんの家でした。
 2軒長屋には、部長以外の医師と薬剤師の父、レントゲン技師の家族が住んでいました。
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 隣近所がとても親しく交流していました。私は小さい時に体が弱く、よく先生に往診をしていただいていました。
 内科の小山(オヤマ)先生の奥様は、元看護師さんでした。私が母に叱られて泣いていると、よく助けに来てくださいました。
 同年代の医師や薬剤師、レントゲン技師が住んでいたので、同じような年代の子供がいました。
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 手稲金山から見る石狩湾はとてもキレイです。今でもはっきりと記憶に残っています。
 家の周囲には雑木林があり、近所の子供たちといつも仲良く遊んでいました。
 病院の医師、薬剤師、レントゲン技師、事務長の子供が同年代で、毎日その仲間が一緒でした。
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 子供のリーダーが小山先生の長男のマーちゃん。その妹がはるみちゃん。
 事務長さんのこどもはヒロスケちゃん。
 内科の先生の子供がナミヒロちゃん。その妹がようこちゃん。
 レントゲン技師さんの子供がマサルちゃん。
 その隣に住んでいたのが私、ケンちゃんでした。
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 小山先生の家の犬がポチ。
 マサルちゃんちの犬がタロ。
 私の家の犬がコロでした。
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 時代はまさに‘三丁目の夕日’そのものでした。
 日本は戦後の混乱から、高度成長期に入っていました。
 結核療養所は、抗結核薬の発達で患者が減っていましたが、私の子供時代の中では、もっともキレイな想い出として残っています。
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 病院の職制がそのまま社宅につながっていました。
 今の病院と時代が違うのかもしれませんが、病院では職員の草野球があったり、ジンギスカンパーティーがあったりしました。
 夏には、病院の看護婦さんたちと、大浜(今のドリームビーチ)に海水浴に行った想い出もあります。
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 各家庭とも、専門職の集まりでした。教育にも熱心だったように思います。
 私は子供の頃から医師になろうと思っていたわけではありません。
 ただ、今になって考えてみると、手稲で過ごした幼少時の想い出が、私の性格に影響していると思います。
 緑や土が好きですし、山を歩くのも好きです。
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 マーちゃんは歯科医師に、はるみちゃんは薬剤師に、私は医師になりました。
 マサルちゃんがどうしたかその後の消息は知りません。
 マーちゃんには、函館にいた時に40年ぶり位で再会しました。家内がお世話になり、他の歯医者さんで治せなかった歯を治していただきました。
 人間の一生なんてわからないものです。小さい時によい想い出をたくさん経験できたことは親に感謝しています。

恥ずかしながら、2歳頃のケンちゃんです

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