医療問題

飛び込み出産

平成19年11月18日朝日朝刊の記事です。
 「飛び込み出産」急増
 たらい回しの一因、背景に経済苦
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 妊婦健診を一度も受けず、生まれそうになってから病院に駆け込む「飛び込み出産」が増えている。
 今夏、奈良など各地で妊婦の搬送受け入れ拒否が発覚したが、病院側が断った理由の一つは「未受診」だった。
 医師からは「妊婦としての自覚をもって」と悲鳴が上がる。
 一方で、未受診には分娩(ぶんべん)できる施設の集約化や格差拡大による経済苦なども背景にある。
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 「出血が止まらない。たぶん妊娠している」
 仙台市立病院(若林区)に9月上旬の日曜日、30代女性が飛び込んできた。
 健診を受けたことがなく、妊娠何週目かも分からない。診察したところ切迫早産で、胎児の体重は2千グラムをわずかに上回る程度と思われた。
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 「緊急帝王切開が必要。出産後にすぐに新生児集中治療室(NICU)もいる」と判断されたが、医師がほかの処置中だったため、別の病院に搬送した。赤ちゃんは無事に生まれたが、「もし受け入れ先がなかったらどうなっていたか」と同病院の産婦人科部長は振り返る。
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 神奈川県産科婦人科医会が、周産期救急搬送システムの8つの基幹病院を調べたところ、2003年に20件だった飛び込み出産は、2007年1~4月に35件。通年では100件を超える見込みだ。
 妊婦の救急搬送の受け入れ拒否の原因として、医師やNICU不足のほかに、「未受診」があるといわれる。未受診に特徴的なのは、リスクの高さと出産費用の未払い問題だ。
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 日本医科大多摩永山病院の中井章人教授が、1997年1月~今年5月に同病院で飛び込み出産をした妊婦41人を分析したところ、子が死亡したのは4例。周産期(妊娠22週~生後1週間)の死亡率は、通常の約15倍だった。
 未受診だった理由で最も多かったのは、「経済的な理由」で12人。41人のうち11人は出産費用を病院に支払わなかった。
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 搬送受け入れ拒否問題を受け、奈良県立医大が緊急調査をしたところ、同大学病院への飛び込み出産は1998~2006年に50件。妊婦・新生児ともに異常は多く、妊婦の胎盤早期剥離(はくり)は2人で通常の10倍、呼吸障害など治療が必要な新生児は19人と通常の約20倍だった。
 小林浩教授(産婦人科)は「未受診だとリスクが非常に高い。妊婦さんも家族もそのことをよく知って、必ず健診を受けてほしい」と話す。
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 ただ、未受診の背景にあるのは経済苦だ。生活保護の出産扶助を利用した人は、1997年は全国で839人だったが、2006年は1396人に増えた。
 健診費用は1回5千円~1万円程度。厚生労働省によると、健診は14回程度が望ましく、最低5回は必要とする。だが自治体の公費助成は平均2.8回にとどまる。
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 茨城県立医療大学の加納尚美教授(助産学)は「国は妊娠・出産に関し最低必要な医療内容と費用を算出し、その部分は公費で手当てしてほしい」と話す。
(以上、朝日新聞より引用)
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 結婚して、妊娠し出産する過程は、家族から祝福され、家庭に幸せを運びます。
 ただ、中には望まれない妊娠もあり、親や親戚からも祝福されない妊娠もあります。親が刑務所に入ってしまうケースもあるそうです。
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 経済的に厳しい状況で、‘間違って’妊娠してしまうケースもあり得ます。
 望まれない妊娠、間違っちゃった妊娠でも、医療機関にかからず出産することは危険です。
 病院も出産費用を払ってもらえなければ倒産します。
 せめて、生み逃げした費用程度は公費で補填してくれたら、産科を開業している先生も助かると思います。
 今は病院が損をするだけで何の補償もありません。
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 公費負担の問題もあります。平成19年11月19日の北海道新聞朝刊によると、全国平均が2.8回。北海道は2.3回です。
 都道府県別で妊婦健診の公費負担が最多なのは、秋田県で10.0回。以下、福島5.8回、石川・山梨が5.0回です。
 お金がないから健診に行きたくとも行けない。健診費用の他に、北海道では交通費もかなりかかります。
 少子高齢化を解消するためには、子供を生みやすく育てやすい環境作りが大切だと思います。

朝日新聞から引用

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