医療問題
看護職の将来
昨日の日記に、看護師さんが、この20年で飛躍的に昇進したと書きました。
市立札幌病院の看護師で、初代の副院長になられた看護師さんは、とても素晴らしい方です。
私が在職していた当時、内科病棟と手術部で、ご一緒に働きました。
穏やかで、実に優しい婦長さんでした。
怒ったことや、大きな声を出したのを見たことがありませんでした。
私は、新聞で辞令を拝見した時に、本当によかったと思いました。
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札幌市内の病院で、早くから看護婦さんを副院長に登用したのは民間病院でした。
私の記憶が正しければ、東札幌病院と札幌麻生脳神経外科病院が早かったと思います。
どちらの病院の副院長(看護部長)さんも、素晴らしい方でした。
理由はわかりませんが、HPを見ると、両方の病院とも今は副院長ではないようです。
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札幌麻生脳神経外科病院の副院長(看護部長)だったのは、紙屋克子さんでした。
1992年にNHKスペシャルで取り上げられた「あなたの声が聞きたい~“植物人間”生還へのチャレンジ~」で有名になられました。
看護の力で意識障害、いわゆる植物状態の患者さんを回復させる取り組みに成果をあげられました。
紙屋さんは、その後、筑波大学の教授になられました。
紙屋さんは、看護師でなければできない、‘リハビリ’を行って、患者さんを回復させました。
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公立病院や大学病院での登用は、民間に遅れること、20年近く経ってからです。
最近でこそ、看護師さんが副院長になるのは珍しいことではありません。
20年前は、看護職の副院長は珍しかったものです。
看護師さんが、副院長となって、病院経営に携わる(タズサワル)のは、よいことだと思います。
経営者として、看護職をまとめるのは大変なことです。
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経営の効率化とサービスの質を落とさないことは、相反することが多く大変です。
国の医療制度改革で、公立病院を中心とした医療機関は倒産寸前です。
地方の公立病院では、累積赤字が数億円から数十億円になって、民間であればとっくに倒産しているところもあります。
看護職をまとめて、赤字を出さないように、病院を‘経営’するのは、並大抵のことではありません。
偉くなると、‘病院経営’にかかわることを求められます。
職位と、責任は平行して増加するものです。
会社でも、役員になると経営責任を問われます。
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私の父が、現役の薬剤師だったころは、薬価差益という‘利益’がありました。
薬を安く購入することで、保険で支払ってもらう金額との差額が、病院の‘儲け’になっていました。
薬局長の裁量で、病院の収益が左右されました。
その頃は、院長→事務長→薬局長→看護部長というのが、暗黙の階級だったように思います。
私が、子供の頃に住んでいた、手稲療養所の職員住宅が
院長→事務長≒医師→薬局長という順番で立派でした。
大卒という‘学歴’の他に、経営への‘貢献’があったからだと思います。
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薬剤師は、国家試験受験資格を得るまでの修業年限が6年間になりました。
病院での実習や、医薬分業での患者様への説明など、求められる業務が増えたからです。
理学療法士や作業療法士も、4年制大学の卒業生が出てきています。
医療機関で働く専門職が、どんどん高学歴になってきています。
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私は、将来、
医師
歯科医師
事務長
看護師
薬剤師
臨床検査技師
診療放射線技師
理学療法士
作業療法士
管理栄養士など、
医師(歯科医師)と医師以外のパラメディカルが一緒に病院経営を考える時代になると思います。
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これからの日本社会は、少子高齢化社会へまっしぐらです。
国は増える医療費を何とか削減しようと懸命です。
今は‘病院’で、医師の指示のもとに、処置をするのが看護師さんです。
将来は、病院や診療所ではない、介護施設で、看護師が高齢者をケアーする時代になると思います。
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少子高齢化社会になり、看護師のニーズはますます増えると思います。
施設では、看護師や保健師が入居者の健康管理をするようになると思います。
どの段階で、医師に診察を求めるか?
どこまで、看護師がケアーしていて大丈夫なのか?
これを見極める能力を求められます。
簡単なようで、実に難しいことです。
当然、責任も重くなります。
判断を誤ると、訴えられることも考えられます。
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看護職は、社会的地位や職位の向上に伴い、職責も重くなります。
経営手腕のある方は、自ら介護施設を経営するようにもなると思います。
そこでは、必ず、‘責任’が求められます。
当然、勉強も必要になります。
私は、これからの高齢化社会で、看護職の役割が、ますます増えると考えています。
看護職を目指す学生さんや、若い方に期待しています。