医学講座

汗のお話し②

 昨日の朝日新聞日曜版(be on Sunday)、汗の話しの続きです。
 生命維持し、魅力も発信
 (平成19年9月23日朝日新聞より引用)
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 たとえば、この夏の真昼のような炎天下で外を10分歩いたとする。その間、汗をかかなければ、体温は1度上がってしまう。
 実際にそうならないのは、人によって差はあるがふつう約1,000mlの汗をかき、皮膚上から大気中に蒸発していくときに奪う熱(気化熱)で体を冷やしているからだ。
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 汗を研究してきた愛知医科大名誉教授の小川徳雄さんは「汗をかかなければ、体温は上がる一方です」という。
 いわば、体の表面に打ち水をしているような仕組みだ。気温や運動量、個人差もあるが、1時間で4㍑も汗をかく場合もある。病気など何らかの原因で汗が出なければ、体温が上がってしまい、生命の危険にさらされる。
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 体温調整を担うエクリン汗を出すエクリン汗腺は、皮膚の表面から0.3~5㎜のところにあり、体表まで汗を出す管が通っている。根元は管がからまった毛玉のような形をしている。「毛玉」が、近くにある血管から血液の透明な部分(血漿)を取り込んで、押し出したのが汗だ。
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 退化する器官
 日本人にはエクリン汗腺が平均230万個あるといわれる。前頭部、鼻などに多いものの、ほぼ全身にある。一方、アポクリン汗を出すアポクリン汗腺は、エクリン汗腺と同じ形をしているが、耳の穴やわきの下、乳首の周り、下腹部など、比較的太い毛が生えた毛穴にしかない。
 皮膚腺と呼ばれるものには、もう一つ、皮脂腺があり、こちらは皮脂を分泌して、汗とまじり合い、皮膚を保護している。
 人間と違い、おもに呼吸で体温調整をしている犬の場合、アポクリン汗腺は体の表面全体にある。エクリン汗腺は足の肉球にあり、表面をぬらすことで滑り止めの役割をしている。体温調整に役立っていないそうだ。
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 エクリン汗が血漿をもとにしたさらっとした薄い塩水なのに対し、アポクリン汗はどろっとした白か灰色の液体だ。
 小川さんは「人類の進化の名残で、退化していく運命にある器官」という。実際、妊娠5ヵ月前後の胎児には全身にアポクリン汗腺のもとになる細胞ができるが、その後退化していき、一部だけ残ることが分かっている。
 生まれてからもアポクリン汗腺はすぐには働かない。思春期ごろから活動を始め、性的に活発な時期によく働く。動物では、性的魅力を発するフェロモンを出す役割を果たしているといわれる。
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 活用法は様々
 「わきが臭」の原因として気にされがちなアポクリン汗だが、人によっては魅力的なにおいと感じる場合もある。日本ではにおいをなるべく抑えようとする制汗剤が中心だ。欧米では、制汗剤だけでなく、わきが臭と混じり合っていい香りになる香水を開発してきた歴史がある。
 体臭の原因物質の解明では日米欧の研究者がしのぎを削ってきたが、成果をどう活用するかでは、においに対する考え方の違いがあるようだ。
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 におい抑える制汗剤 始まりは19世紀後半
 汗のにおいを抑える制汗剤の歴史は古い。 19世紀の後半に米国で殺菌剤を配合した商品が発売されたのに始まる。同じ米国で20世紀初頭には汗を抑える商品が出されたが、酸性で皮膚への刺激が強く、衣類が破れるという問題があった。本格的に市場が拡大するのは1950年代からだ。
 制汗剤の国内市場は2006年、前年並みの321億円。国内市場は高齢化で頭打ちだが、世界的には欧米を中心に伸びる余地が大きいとされる。花王はスパイシー臭や硫黄臭などの研究成果を、05年から「ビオレ」「メンズビオレ」のスプレーやボディシートなどに反映させている。
 (朝日新聞より引用)
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 この朝日新聞の記事の中で、アポクリン汗腺は、エクリン汗腺と同じ形をしているというのが、間違いです。
 アポクリン腺はエクリン腺より皮膚の深い層にあり、肉眼で見ても明らかに形も色も違います。手術をしたことがある先生ならすぐにわかります。制汗剤で対処できない汗は、是非、札幌美容形成外科に相談なさってください。

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