医学講座
医療ミスの経験
前にも一度書いたことがあります。
私には苦い経験があります。
私がJA帯広厚生病院の
形成外科主任部長だった時のことです。
JA帯広厚生病院は、
十勝地方で最大規模の病院です。
夜間の救急患者さんも診ていました。
形成外科の夜間の担当は…
2年目の形成外科医でした。
■ ■
私の下に形成外科専門医が一人いて、
3人体制で形成外科を担当していました。
夜間は、
病院の近くに住む若い医師が呼ばれて、
患者さんの診察や手術をしていました。
自分で手に負えないと判断すると、
私の次の先生を呼ぶのが…
当時の暗黙のルールでした。
■ ■
若い先生は、
有名国立大学を卒業し、
医師国家試験も一発で合格した…
‘優秀な’先生でした。
残念なことですが…
私が‘こうしてはいけない’と
口うるさく注意していた
医療ミスをしてしまいました。
実に単純なミスでした。
■ ■
次の日の外来で…
そのミスに気付きました。
外来が終了してから、
私に報告がありました。
幸い後遺障害にはなりませんでした。
私は担当副院長に報告し、
医事担当次長、
医事課長と相談しました。
■ ■
ベテランの事務方は、
事故の対応にも慣れていらっしゃいました。
事務次長が菓子折りを準備してくれました。
私は研修医と一緒に…
患者さんのご自宅まで…
謝りに行きました。
幸い後遺障害がなかったこと、
痛みもなく、
キズも治ったので、
患者さんからは訴えられませんでした。
■ ■
それどころか…
『そんなに謝らないでください』
『言われなければ…』
『私はミスに気付きませんでした』
とまで言ってくださいました。
この事例は…
明らかに医療者側に原因がある、
医療ミスでした。
■ ■
今の医学教育や、
臨床研修システムでは、
自分が医療ミスを起こした時に、
どのように対処して…
誰に報告して…
どう謝ったらよいか…
なんてことは教えません。
ベテラン医師でも…
患者さんの家まで、
謝りに行った先生は少ないと思います。
■ ■
交通事故と同じです。
医療事故は、
誰でも起こす可能性があります。
出身大学とか…
センター試験の成績には関係ありません。
大切なのは…
自分も事故を起こすことがある
…と自覚することです。
もし事故を起こしたら、
誠心誠意、患者さんと対応することです。
これが30年の経験から言えることです。
“医療ミスの経験”へのコメント
コメントをどうぞ
私も今日山形地裁に行ってスケジュール表をみたら荻野先生の次の審理も某病院に対する一人の男性の医療訴訟でした。 私と今日一緒に行ってくれた患者のMさんのおばさんも某病院で子宮の手術をされのですが膀胱神経まで切れたみたいで、尿意がなく時間を決めてトイレにたちおしめまで必要になったとのことで某病院に医療訴訟を起こされているとの事でした。わからないだけで どこの病院もあるんだなあと思いました。 本間先生、昨日も力を入れて書いていただいたのに すみませんでした。
もう少しがんばるのでよろしくお願いします。
偶然サイトに出逢って、思わずコメントさせていただきたい気持ちになりました。生まれて初めてコメントということをさせていただきます。
実は、約3年前に診療所で医療過誤から背中に火傷を負いました。漢方の吸玉治療でのミスです。アツアツに熱したガラス玉を押しつけられ、”熱い!!!!!火傷する!!!!!”と絶叫しましたが、”大丈夫大丈夫”とそのまま放置され、ガラスは背中に乗っかったまま数10分。
今もまだ治療中です。先日手術を受けました。
当初は、跡痕が残ると伝えられ、ショックではありましたが、済んだことは仕方ない、でも将来この火傷痕を見て”加害者の医師もできるかぎりのことを精一杯してくれたよな”と思える日が来ることを祈っていました。その気持ちも素直に医師本人にも伝えました。
でも、彼の対応は最初から誠意のかけらもなく、痕が残るかどうか何度聞いても、ずっと”大丈夫、大丈夫残らない”とごまかされ(見極める能力がなかっただけかもしれません)謝りに来るどころか、事実説明も求めるまで全くなく、指示に従って何日か後に患部を見せに行ったら”なんでもっと早く来なかった”だの。治療の指示も悪ければ、患者への精神的ダメージなんて全く配慮のかけらもありませんでした。自分が話をしたいときは、自分の都合のいい時を一方的に伝えて”診療所に来い”のスタンスでした。
その診療所では手に負えない火傷と判断し、他院でのよりよいの治療を望む私に、自分の加入してる保険でカバー可能な範囲でしか認めない。”なぜですか?””それはあなとの治療だから””じゃあそもそも原因は何ですか?あなたの過失でしょう?”まるで禅問答のようで、とても疲れたのを今でも覚えています。
今後の治療、その費用についての話会いをお願いしたら”ぼくの生活のペースが乱れるからその日は(夜でした)無理”だの、ウソでもいいからもうちょっと患者の神経を逆なでしないような理由はないのかと、開いた口がふさがらず、私も”1日くらいなんですの?私はあんたのせいで一生狂ってるんやで!!!”と電話口で叫びました。
それまで何年間もかかっていた、ホームドクターと思っていた医師でしたが、その日を境に私の中の何かがプツンと音を立てて切れました。
結局、私の気持ちは、いまだにわだかまりを残したままで、おそらく、どんなに後遺症に対して金銭で償おうとされたとしたところで、もうそのレベルをとうの昔に越えてしまっています。お金ではこの心のダメージは今更修復不可能です。彼の自分勝手な言い分を傷痕を見るたびに一生思い出すのだと思います。
相手が悪かったとあきらめるのしかないのでしょうが、もう少し誠意のかけらでも見せてくれていたら、私ももう少し平和な気持ちでいられたと思うと残念でなりません。
彼は、私の背中と同時に心にもくっきりと醜い痕を残しました。消えない痕を。
”誠心誠意”申し訳なかったという気持ちは、絶対に伝わります。私は運が悪かったけど、同じような思いをする被害者が減るように医師の方にお願いしたいです。やってしまったことは仕方ないけど、後の対応で、被害者の気持ちを軽くすることができると同時に、どうしようもなく、もつれさせることも可能だと感じます。
長々とすみません。読んでくださったかた、ありがとうございました。
【コメントありがとうございました】
医療従事者の一人として、お詫びいたします。お気持ちは痛いほどよくわかります。担当の先生には、熱傷(やけど)の知識がなかったのです。Ⅲ度熱傷になると、水疱(すいほう)もできず、皮膚もただれません。心のキズは時間がかかります。腕の良い弁護士さんを見つけられ、キズは形成外科専門医に任せてください。札幌でしたら、高橋智法律事務所がおすすめですが…。京都の形成外科でしたら、冨士森先生をおすすめします。札幌美容形成外科@本間賢一
本間先生
コメント大変ありがたく読ませていただきました。
ありがとうございます。
偶然、冨士森先生に手術していただきました。先生が治療後、火傷痕を手のひらでいつも押さえてくださいます。おそらく医学的効果はないとは思いますが、文字通りこれが「手当」なんだなといつも温かい気持ちになります。まるで、傷痕を慈しんでくださってるように感じます。
ご存知かとは思いますが、医師としてだけではなく、人間的にも素晴らしい先生ですよね。今回不幸なアクシデントではありましたが、冨士森先生といつも笑顔の看護師さん、病院のスタッフの方に出逢えたことが、せめてもの収穫です。
今、先方が弁護士に依頼され、このまま行ったら大した後遺症補償もされないまま、結果泣き寝入りか、私が弁護士に依頼しても弁護士費用で、結局私には何も残らないと弁護士相談で言われたりと、どうしたものかと、「やられ損」とはこのことなんだと、思いは巡り・・・あちこち、当たってはいますが、頼むにしてもどの弁護士さんが勝てる人なのかの情報もなく、困っています。
もしも、近畿で医療過誤で力になってくださる弁護士さんをご存知でしたら、ぜひ教えてください。ぜひ、相談に行ってみたいです。
お忙しいところ個人的なことで申し訳ありません。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
札幌の弁護士、高橋智先生にhttp://www.takahashi-law.com/ご相談いただければ、京都の弁護士さんをご紹介くださると思います。良い弁護士には良いネットワークがあると思います。一日も早く快くなることを祈念しております。
ありがとうございます。さっそく連絡してみます。
私は、寡黙で一生懸命取り組まれる先生がとても好きです。何かを治療や看護をする時にその部位だけみるのでは無く全体(身体、精神面、社会的背景など)としてとらえるのが大事と言います。
全体の()書きに書きました身体も範囲が広いですが、治療する部位に関連する所、年齢、他の疾患がある方は影響が無いかなど多角的アセスメントは綿密にしておくのは大事だと言えると思います。
前にもコメントで技術と人柄が大事と書いた様な記憶があります。
ミスが起きないように配慮がされていたり合併症を起こらないように全体的にとらえて治療される先生は尊敬です。
追記
誠心誠意、ベストを尽くす頑張ってる先生は患者様に話さなくても伝わるものはあると思います。