医学講座
前立腺肥大の薬、アボルブ
男性の頭髪治療に使われるプロペシアは、
もともと前立腺肥大症のお薬でした。
前立腺(ぜんりつせん)は男性にだけある組織です。
膀胱から出たおしっこが通る…
尿道の周りにあります。
としをとると…
男性はおしっこの出が悪くなります。
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前立腺が肥大して、
尿道が狭くなるためです。
私もそろそろ危ない年齢です。
麻酔科研修をしていた時に、
札幌医大の名誉教授が…
手術を受けるのを見ました。
■ ■
名誉教授の年齢になると…
みんな前立腺の手術を受けるのだなぁ~
…と30年前には見ていたのですが、
そろそろ自分がその年齢に近づいています。
前立腺肥大を治すのにも、
男性ホルモンをおさえる薬を使います。
■ ■
薄毛治療に使うプロペシアは、
1992年4月に前立腺肥大の薬として、
オーストリアで承認されました。
前立腺の薬としては世界110 ヵ国で承認されています。
テストステロンという男性ホルモンを、
より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換する
2 型の5 α還元酵素を阻害します。
■ ■
2001年に米国で承認された、
アボルブというお薬があります。
日本では前立腺肥大症の治療薬として、
2009年7月に承認されました。
この薬は…
1 型および2 型の5 α還元酵素を阻害します。
米国では、
頭髪治療に使って効果があるという論文が出ています。
■ ■
高価なお薬ですが…
前立腺肥大症がある男性は、
泌尿器科の先生に…
『先生、アボルブというお薬が効くって聞いたのですが…』
…とお願いしてみることはできると思います。
毛を目的に変えることはできなので、
毛のことは言わないほうがいいと思います。
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PubMedという医学用検索サイトで、
アボルブの成分であるdutasterideと
禿を意味するalopeciaを検索してみたところ、
Pilot Study of 15 Patients Receiving a New Treatment Regimen for Androgenic Alopecia: The Effects of Atopy on AGA.
という論文が見つかりました。
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上の論文をクリックすると、
症例写真が出ています。
単純にプロペシアと比較はできませんが、
このアボルブというお薬も効果があります。
残念ですが頭髪治療薬としての認可は、
まだ米国でも出ていません。
“前立腺肥大の薬、アボルブ”へのコメント
コメントをどうぞ
私の父くらいになるとほとんどの方は前立腺肥大で泌尿器科に通院しています。何歳頃からだかはさだかではありませんがだいぶ前から薬を飲んでいます。もし 先生くらいの歳で 前立腺肥大になったらそう言えば良いのですね。