医療問題

膿を出す

 私の父は大正15年3月生まれです。満81歳になります。
 その81歳の父親が平成19年12月12日(水)に入院しました。
 入院する数日前からお腹の調子が悪く、近所の内科で点滴をしてもらっていました。
 点滴をしても快くならず、12日(水)に札幌市手稲区の稲積公園病院に入院させていただきました。
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 13日(木)の午前中に見舞いに行きました。
 すっかり憔悴(ショウスイ)して、
 「もう死ぬかもしれない」
 「昨夜は痛くて、一睡もできなかった」と言っていました。
 入院時検査で、白血球数が2万。CRP(シーアールーピー)という炎症反応を示す数値が13。
 かなり重症の感染症でした。
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 病院で検査していただいたところ、見つかったのが急性胆嚢炎でした。
 急性胆嚢炎は、胆石という石が原因で起こることが多い病気です。石がない場合もあります。
 胆嚢炎の痛みは、激痛といわれています。
 父が一睡もできない位、痛かったというのも無理はありません。
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 病院で検査しても、胆石は見つからなかったそうです。
 13日に見舞いに行って、院長の松嶋喬先生と主治医の長岡康裕先生からお話しを伺いました。
 炎症が強くなり、白血球が3万、CRPも亢進(コウシン)しているので、胆嚢に針を刺して膿を抜くことになりました。
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 エコーという超音波でガイドしながら、腫れている胆嚢に針を刺します。
 局所麻酔をして、お腹に針を刺します。
 ちょっと怖い気がしますが、このまま放置すると生命に危険が及ぶ可能性があります。
 父の病状を考えると最適な治療です。
 担当の長岡先生にお願いして13日の午後に行っていただきました。
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 13日の夜に、再度見舞いに行きました。
 午前中に「もう死ぬかもしれない」と言っていた父は、すやすやと眠っていました。
 私たちが行くと目を覚ましました。
 父親は、痛みがなくなって元気になっていました。
 「いゃぁ~、痛みが楽になって、もう天国だ!」と言っていました。
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 おいおい、じいちゃん!
 「死ぬかもしれない」と言っていた人が、いきなり天国じゃ、神様もびっくりするぜ。と思わず言いそうになりました。
 点滴を交換してくださっていた、優しい看護師さんが、
 「本間さん、天国へ行ったように楽になってよかったですね」と声をかけてくださいました。
 急性胆嚢炎の痛みは、尋常ではないくらい、強いものだとわかりました。
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 稲積公園病院は肝臓病の病院として有名です。
 院長の松嶋喬先生は、北大第三内科の助教授から、市立函館病院院長を歴任された、肝臓病の大家です。
 私が北大形成外科に勤務していた時にも、肝臓病を患った患者様を形成外科病棟まで往診してくださいました。
 現在は、特定医療法人カレスサッポロの一つとして、地域医療に貢献されています。
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 “膿(ウミ)を出す”という言葉があります。
 外科の基本に切開・排膿という手技があります。
 皮膚にニキビができると、赤く腫れて触ると痛くなります。
 ひどくなると、直径が1㎝近くまで赤くなることもあります。
 ニキビをつぶして上手く膿が出て、ニキビの芯がでると炎症がおさまります。
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 ニキビですら、痛くなるのですから、胆嚢がパンパンに腫れて膿がたまると、死ぬほどの痛みが出ます。
 たまった膿を出して、腫れた胆嚢が縮むと痛みがウソのように楽になります。
 父の場合は高齢でもあり、また膿がたまる可能性もあります。外科的な手術が必要になることも考えられます。
 それでも、痛みをとっていただき、夜に眠れるようにしていただいただけでも感謝かんしゃです。
 長岡先生、ありがとうございました。

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