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医療と観察・分析・判断
私は昭和57年に札幌医科大学麻酔学教室で麻酔科研修をさせていただきました。北大から札幌医大へ研修へ行くのは珍しいことでした。恩師である大浦武彦教授と札幌医大の高橋長雄教授のトップ会談で‘特例’として認められました。
私が札幌医大の卒業生だったことも幸いしたようです。当時、私を指導してくださった先生は、現在も日本麻酔学会の要職に就かれ、現役の麻酔学教授もたくさんいらっしゃいます。
私の医師としての四半世紀にわたる人生の中で、札幌医大麻酔科で研修を受けたことはとても意義深く、私の貴重な財産となっています。
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昨日の日記で、医療でも観察・分析・判断が必要と書きました。麻酔学は手術の麻酔をかけて、手術を安全・快適に受けていただくための学問です。
私は麻酔科研修で、この観察・分析・判断の重要性をしっかり叩き込まれました。
麻酔をかけた後も、常に患者さんの状態を観察し、モニターの音、血圧、脈拍数、酸素飽和度などをしっかり観察します。何か異常があれば、即座に分析し、麻酔濃度の調節などの判断をします。
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医療のどの分野でも、この観察・分析・判断をしっかり行わないと医療事故が起こります。
全身麻酔で豊胸手術を受けた後に植物状態になった医療事故の例を書きました。これは典型的に観察・分析・判断が悪かった例です。
美容外科では医療事故なんて起こらないとお考えかもしれません。確かに産科などよりリスクは少ないと思います。でも実際にこのような事故が起こっています。
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観察するには、観察できる目が必要です。医師免許をとって日が浅い先生では、観察力が不足していることも考えられます。
厚生労働省の決めた2年間の臨床研修だけでは、的確に観察できる目はできません。
流通業でも、店長クラスになるには本人の努力と10年近い経験が必要と伺いました。もちろん教育も大切です。
医療は航空業界と同じで、安全・快適に‘飛行’することが何よりも大切です。免許取立てのパイロットには大型旅客機は操縦できません。ところが医療では卒後数年の先生がジャンボジェットを操縦しているようなこともあります。
観察・分析・判断が的確にできる‘先生’を選ぶことが、安全に手術を受ける上でとても大切なのです。