医療問題

日鋼記念病院

 平成19年11月10日朝日新聞朝刊の記事です。
 カレスアライアンス理事長解任余波
 日鋼病院止まらぬ医師退職
 救命センター休止に現実昧
 救急搬送他病院の負担増す
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 9月に起こった医療法人社団「カレスアライアンス」の理事長解任劇の余波が収まらない。
 同法人が運営する室蘭市の日鋼記念病院では医師の退職が相次ぎ、今月末に予定される循環器科医師らの退職で、懸念される救命救急センターの休止も現実味を帯びる。
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 これによって、西胆振地方の医療体制に影響が出る可能性もある。
 発端は、カレスアライアンスが所有する札幌市の天使病院を、同法人と関係が深い特定医療法人「カレスサッポロ」に移管しようとした問題。同法人の理事長を務めていた西村昭男医師が主導した。
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 だが、天使病院の産婦人科医師らが「移管の理由がよくわからない」「サッポロの経営状況が不透明」などと反発し、一斉に退職する意向を表明。その後、9月11日に聞かれたアライアンスの臨時理事会・臨時総会で、西村氏が理事長を解任される事態に至った。
 これにより、天使病院の産婦人科医師の一斉退職は避けられた。だが、余波はアライアンスが運営し、西村氏がかつて院長を務めていた日鋼記念病院に及んだ。
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 同病院では今年3月末に脳神経外科医2人が辞め、産婦人科もー人残っていた医師の退職で休診。
 西村氏の解任後は、脳神経外科医ら6人が退職した。一部は補充できたが、今月末にはさらに循環器科の医師4人全員と内科の医師3人が退職する。医師がゼロになった脳神経外科は今月から休診。循環器科も医師を確保できなければ12月から休診する。
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 一方、アライアンス側は医師の確保に奔走している。「救命救急センター」の存続にも大きくかかわるからだ。
 同センターは、交通事故や心筋梗塞、脳卒中などの重篤な救急患者の治療にあたる3次救急医療機関。地域の指定要請を受けて知事が指定し、道内には10力所ある。
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 胆振地方は日鋼記念のみで、脳神経外科と循環器科の医師がいなくなればセンターの休止を余儀なくされる。
 アライアンスの林茂常務理事は「(両科で)医師が最低2人ずついれば機能は維持できる」と話すが、現時点で確保の見通しは立っていない。
 同市内には肺炎や脳梗塞などの患者の治療にあたる2次救急医療機関の市立室蘭と新日鉄室蘭の二つの総合病院のほか、脳神経外科病院もあり、医療環境は比較的充実している。
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 だが、同市消防本部の佐藤武雄消防長は「救命救急センターが休止になれば、2次救急の病院にするか、札幌など管外へ搬送するか判断が難しくなる」と話す。
 市内の医師の1人も「ほかの救急病院への負担が大きくなり、大きな事故や災害の発生への対応に不安が出る」と懸念する。
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 今年1~8月の同市内の救急搬送件数は、3月末に産婦人科医や脳神経外科医の退職が相次いだ日鋼記念が前年同期比233件減った。
 これに対して市立室蘭は80件、新日鉄室蘭は30件、脳神経外科病院は53件の増加。すでに他の病院が負担増になり、この傾向は9月以降も続いている。
 (以上、朝日新聞より引用)
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 10月22日付けで、カレスアライアンスの勝木良雄理事長が理事長の交代に関する経緯をHPに掲載しています。
 その中で、
①国の医療費抑制策の結果として、日本中の殆どの急性期病院が赤字経営を余儀なくされている。
②医師不足による各診療科医師の地方基幹病院からの撤退など、病院運営は困難な状況に追い込まれている。
③カレスアライアンスにとって大きな不利益をもたらすM&A(Mergers and Acquisitions、企業の合併・買収)を避けるために起こった理事長交替であった。
 ①~③の理由が書かれていました。
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 医療機関が‘儲かった時代’は終わりました。
 医療法人はもともと‘利益’を出すための法人ではありません。ただ、赤字になっては存続すら危うくなります。
 地域医療に必要な医療法人は、行政の力を借りてでも存続させて欲しいと願っています。

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