医学講座
2%の失敗率でも患者さんには100%
2日間の第3回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
有意義な学会でした。
私は乳房再建はしませんが、
一人の形成外科医として、
再建技術の進歩や、
保険適応になった乳房インプラントのことを、
しっかり勉強できました。
■ ■
この学会を聴いて、
一番印象に残ったのが、
聖マリアンナ医科大学形成外科教授の、
梶川明義先生のお言葉です。
2%の失敗率でも患者さんには100%
失敗は絶対に許されない
とても重みのあるお言葉です。
■ ■
乳癌で失った乳房を、
豊胸手術のように、
簡単に治せると思うのは大間違いです。
数百例の手術をしたベテランの先生でも、
なんらかのトラブルを起こす可能性があります。
たとえ2%の失敗率でも、
患者さんにとっては100%です。
きれいなおっぱいができると思っていたのに、
おっぱいができなくなります。
■ ■
乳がんになって乳房を失って、
ただでさえ落ち込んでいるのに、
感染などで再建できなくなると、
インプラントを抜去しなくてはならなくなります。
梶川教授は、
他院で感染した患者さんも、
梶川メソッドで感染をコントロールし、
インプラントの代わりに、
自分の組織で再建されていました。
■ ■
エクスパンダーという組織拡張器でたくさんの経験を積んで、
感染コントロールも上手にできる梶川先生だから、
たとえ2%の失敗例に入ってしまった患者さんでも、
なんとか救済して、
きれいなおっぱいを作っていらっしゃいました。
梶川教授の
2%の失敗率でも患者さんには100%
失敗は絶対に許されないが、
とても信頼できる先生の根拠です。
■ ■
感染コントロールの梶川メソッドは、
英文論文として2009年に発表されています。
Salvage of infected tissue expanders using a new continuous irrigation method with intermittent aspiration.
Kajikawa A, Ueda K, Katsuragi Y, Iida S.
J Plast Reconstr Aesthet Surg.
Mar;62(3):e69-72.2009
興味がある形成外科の先生は調べてください。
梶川先生に伺うと、
親切に教えてくださいます。
信頼できる先生です。
“2%の失敗率でも患者さんには100%”へのコメント
コメントをどうぞ
2%の失敗でも100%はなかなか難しいです。私が脊髄腫瘍のあと頸椎も手術したのですが、自信満々の先生でしたので私に取りましては頸椎手術は盲腸レベルの簡単な手術と言われ、なんの不安もなく手術しましたが右手が挙がらなくなりました。髪もとかせず ご飯茶碗も持てなくなり 荻野教授、肩の先生やらどんどん 診察に来られました。どんなに偉くても 上手な先生でも失敗はあります。 どう 治すかは 美容外科も同じですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。そうです。たとえ虫垂炎の手術でも難しいです。車の運転と同じでいつも緊張していないと思わぬところで事故を起こします。
勿論、命が何よりも大切ですが、
女性にとっておっぱいを失う事は他とは比べられない悲しみがあるとおもいます。
子供を産み終えたら、子宮を無くすよりショックかもしれません。
再建が容易ではないと知り、日頃から自分で触診したり乳がん検診で早期発見につとめたいと感じました。
ありがとうございました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
乳癌で命を落とす女性は今でも多いのです。早期発見早期治療です。私もピロリ菌検査を受けます。
虫垂炎でもミスがあるのですか。
驚きました。
かかしさん
女性のおっぱいがなくなるのは辛いですよ。
私も若い頃にしこりが出来て取ると言われた時、
親に死ぬと言いました。