医学講座
手術ロボット_医療事故
今日は2026年8月5日(水)です。
昨日届いた医療事故情報センターの
センターニュース2026年8月号に、
とても残念な記事がありました。
川島英雄(札幌弁護士会)
ロボット支援手術で血管を牽引して損傷させた上、術後出血を疑わせる所見等に対する適切な措置を採らなかったことにより患者を死亡に至らせた事例
手術ロボットで前立腺癌の手術を受けた方です。
病院がHPで公表した事故の内容です。
医療事故公表
令和8年5月8日
独立行政法人国立病院機構
ロボット支援下術後の出血による死亡例について
この度、当院で行われたロボット支援腹腔鏡下手術中に医師が鉗子の誤操作により外腸骨静脈を損傷したこと及び術後の同静脈からの出血に対し医師及び看護師らが適切な止血措置を取らなかったことにより、患者様が出血性ショックによって死去される事例が発生したことについて、概要を公表します。
本件により、患者様がご逝去されましたことに対し、心より哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様に深くお詫び申し上げます。
【医療事故の概要】
患者様は2022年ロボット支援下腹腔鏡手術を施行された。手術中にロボットに取り付けた把持力の強い鉗子を静脈の把持に使用していたが、同鉗子の移動操作を行った際、鉗子の先が血管から離れる前に移動したために血管が強く牽引され、血管壁が割け出血した。割けた血管を連続縫合で修復し、止血を確認のうえペンローズドレーンを留置し、ドレーンからの出血量が計測できるよう手術を終了した。
術後、覚醒した状態でHCUへ搬送された。HCUに移動し2時間ほど経過したところで血圧が低下したが、腹部の張りも乏しく、脈拍数の著しい変動もなかったことから薬剤の影響による血圧低下であると判断し、経過を見ていた。その後も血圧は低めに推移し尿流出も乏しく、頻呼吸(呼吸数23回/分)も見られていたが、HCU入室から5時間ほど(血圧低下から3時間ほど経過)した頃に、術前指示に基づく点滴500mlを追加して状態を見ることとした。その後、創部ドレーンからの出血が確認されたものの、少量であったことを理由に経過をみていたところ、HCU入室から6時間ほど経過した頃にショック状態となり、その後心肺停止となった。蘇生処置により約1時間半後、心拍は再開したが、創部ドレーンからの出血及び貧血が確認され、術後出血によるショックと判断された。その後、インターベンショナルラジオロジーによる止血を試みたが十分な効果が得られず、ショック発生からおよそ7時間後に永眠された。
病理解剖の結果、静脈修復部裏面の血管壁に穿孔を認め、同部からの出血が死因と判断された。病理標本では穿孔を伴う静脈解離が認められた。
本来守るべき大切な命をお預かりする立場にありながら、このような結果となりましたことにつき、医療従事者として痛恨の極みであり、ご遺族の皆様に深くお詫び申し上げる次第です。
本件は医療に起因する予期せぬ死亡と判断されたため、外部委員を含めた院内事故調査委員会を開催し、報告書が作成されました。当院は今回の事態を重く受け止め、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。現在は、ご遺族の皆様とも協議を重ね和解に至っております。今後、医療安全体制の一層の強化や職員教育の徹底をはかり、病院全体で再発予防に全力で取り組む所存でおります。
■ ■
手術ロボットを使った手術は、
お腹の中が直接見えません。
外腸骨静脈の損傷はかなり出血します。
開腹して止血していれば、
患者さんが亡くなることはなかったと(私は)思います。
私たちの世代でしたら、
開腹して止血していたと思います。
亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りいたします。




