医学講座

第15回日本熱傷学会北海道地方会

 今日(平成21年2月21日)は、
 第15回日本熱傷学会北海道地方会がありました。
 昨日からの悪天候でJRが運休。
 参加予定だったまみ子師長さんが、
 出席できませんでした。
 札幌も一時、
 猛吹雪となり、
 雪で視界が遮(さえぎ)られました。
 市内でも交差点内で、
 車が埋まって立ち往生していました。
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 私は形成外科医として、
 長い間、熱傷(ねっしょう:やけど)の治療をしてきました。
 札幌医大に在籍中には、
 ロシアから来た子どもの治療もしました。
 (有名なコンスタンチン君ではありません。)
 (コンスタンチン君を治療したのは、
 旭川赤十字病院形成外科部長の阿部清秀先生です)
 私がはじめて学会発表をしたのが、
 日本熱傷学会でした。
 想い出深い学会です。
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 今日の学会では、
 市立札幌病院救命救急センターの先生と
 市立札幌病院形成外科の先生が、
 2008年7月にロシアで大やけどをした、
 13歳の男の子の発表をなさいました。
 北海道とロシアは隣り合っています。
 北方領土の問題があり、
 残念なことに良好な関係ではありません。
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 私自身もロシアの子どもを治療して、
 大変苦労した記憶があります。
 一番困ったのが、
 言葉が通じないことでした。
 英語なら少しは自信がありますが、
 ロシア語はまったくダメです。
 国民性の違いや、
 生活習慣も違います。
 食べ物が違うので、
 日本の病院食がロシア人には合いません。
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 ロシアは経済が発展したと言われています。
 ところが医療レベルは日本と比べると劣っています。
 特に重症熱傷(ねっしょう:やけど)は、
 高度の専門的知識、
 医療技術、
 医療スタッフの協力が必要です。
 ロシアでは救命できないので、
 チャーター機で来日されました。
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 13歳の男の子は、
 6回の手術を実施し、
 機能障害を残さずに退院されました。
 市立札幌病院の救命救急センターと
 形成外科がチームワークよく治療し、
 看護部やリハビリの協力体制もすばらしかったからです。
 やけどの治療には、お金がかかります。
 7月から10月までの入院治療で、
 かかったお金が1,365万円でした。
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 健康保険はロシア人には使えないので、
 ロシア側が支払いました。
 私が札幌医大で治療した子どもさんも、
 1,000万円以上の治療費がかかりました。
 やけどはどんなに上手に治しても、
 必ずキズが残ります。
 一番大切なのは…
 やけどをしないように気をつけることです。
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 この子どもさんは、
 車庫にあったガソリンが気化し、
 マッチに火をつけたところ引火して爆発しました。
 ガソリン、灯油、花火など、
 危険なものは身近にたくさんあります。
 やけどをしないように気をつけましょう!

“第15回日本熱傷学会北海道地方会”へのコメント

  1. 函館の看護師さん より:

    まみ子師長さん、残念でした。ものすごい風と吹雪で交通マヒしてましたので本当に残念だったと思います。

    熱傷・・・広範囲になると大きな病院で治療が必要になりますよね。
    感染症の予防や輸液の管理・・・とても大変ですし、やはりきちんと勉強したお医者さんや看護師さんの懸命な治療が必要になりますよね。

    私が看護師1年生のころ、やけどではありませんでしたが、薬の副作用と思われる症状で全身の皮膚が腫れ、ただれ、皮がむけて・・・という方の治療の際に本間先生の処置はとても勉強になりました。
    看護学校でも清潔、不潔の違いや処置の際の注意などは教科書上習いました。
    実習に行っても実践しました。
    でもその病院は外科的な治療や熱傷などの処置の患者さんはほとんどいませんでしたので、一般の病室でできる範囲に無菌に近づけて処置を行っていたことはとても勉強になり、今でもはっきり覚えています。

    もちろん当然なのですが、普段とは違う本間先生の厳しい医師としての鋭い目でした。(普段はとても優しい目ですよ)

    その患者さんのおかげで私の中に処置をする重要性、処置の際の基本操作、無駄のない動き・・・それ以来医師の介助に入るときの看護師さんとの連携がどれだけ治療に影響するかということを学んだのでした。

    少し熱傷とは離れちゃいましたが、本間先生が熱傷の時、このように処置をしたり、全身状態の管理について教えていただいたことを今でも感謝しております。

  2. さくらんぼ より:

    日本熱傷学会悪天候の中 お疲れ様でした。 ロシアの少年の熱傷治療では 北海道は有名になりましたね。やはり日本の医療技術は高いので 来日されるのでしょうね。 火傷の処置の仕方など本間先生のブログはとっさの時に役立つ医学書みたいです。 今年は 年1開かれる合同熱傷学会 東北であるとお聞きしましたが、いつごろ 何県であるのでしょうか?
    やけどの治療費がそんなにするとはびっくりでした。
    ほんとにお疲れ様でした。

  3. まみ子 より:

     本当に残念でした。
     日本熱傷学会北海道地方会は私にとっても想い出深い学会です。本間先生に御指導を受け初めて学会発表をしました。緊張しない体質ですが質問されたらどうしよう・・・とドキドキした事を覚えています。

     昨日は、帯広駅に行ってレール&ホテルパックをキャンセルしてから、普通に仕事をしました。JRタワーホテル泊まりたかったです。すすきの方面の夜景が最高に綺麗なんですが・・・。
     来年はお天気が良い事を祈ります。
     お疲れさまでした。
     

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