医学講座
ためしてガッテン
平成20年4月2日(水)にNHKで20:00から放送された、
ためしてガッテンを見て、形成外科を受診なさる方が増えています。
名古屋で開催された、第51回日本形成外科学会でも話題になっていました。
TVに出演されたのは、信州大学医学部形成外科の松尾清教授です。
ためしてガッテンのタイトルは、
医学で解明!顔若返り
一見、美容外科の内容か?と思わせるタイトルでしたが、
番組で紹介されたのは、眼瞼下垂症でした。
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信州大学形成外科は、日本の形成外科でも、
もっとも眼瞼下垂症に力を入れている施設の一つです。
松尾教授は、神経生理学的に眼瞼下垂症を分析。
形成外科医があまり得意ではない、
筋電図などを使って、
眼瞼下垂症と種々の症状の関連を分析しています。
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眼瞼下垂症で肩こりや頭痛になるのは、
札幌美容形成外科のHPでも解説しています。
松尾教授は、さらに原因不明の体調不良。
不眠、うつ病まで引き起こすと解説されていました。
今回の学会でも、眼瞼のセッションは、
信州大学が圧倒的多数の演題を出されていました。
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眼瞼下垂症を上手に治せるのは形成外科です。
ただ、形成外科医でも100%満足していただける結果を出すのは…
残念ながら、とても難しいのが、眼瞼下垂症手術です。
自分の顔が変わるのは絶対にイヤという人がいます。
目が変わると、印象がガラリと変わります。
開いているかどうかわからないような目を、
少し開くようにしただけで印象が変わります。
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一般的に眼瞼下垂症手術をすると、目は二重になります。
二重になんかなっては絶対にイヤ!
という方にはできない手術です。
手術が心配でしんぱいで…
という人にもおすすめできません。
ある先生が学会で発言されていました。
モノがよく見えるようになったのだけれど…
家族に『ヘンだ!』と言われて‘うつ’になったとか…。
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100人中、99人が見て、
ごく自然な二重だったしても…
元の目とは違います。
誰かに『ヘン!』と言われて、気になると…
もう気になって気になって…
という人にはできない手術です。
とにかく本人が気にいらなければ、手術は‘成功’とはいえません。
手術直後は腫れています。
醜いアヒルの子です。
美しい白鳥になるには時間がかかります。
ですから、どんなに上手な先生がしても、
難しいのが眼瞼下垂症手術なのです。
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松尾教授の業績によって、
‘眼瞼下垂症は形成外科で治す’という認識が生まれました。
一人の形成外科医としてとても嬉しいことです。
美容整形ではなく、目の機能を改善する手術です。
慢性的な肩こりや頭痛が改善されて…
結果として、見た目の改善も得られるのはよいことだと私は思います。
ただ、自分の顔が変わるのはイヤとか
美容整形を受けたと誤解されるのはイヤという方は
手術を受けるべきではないと思います。
価値観は人それぞれです。
まぶたが下がって重ければ、
テープで吊り上げて新聞を読む方法もあります。