医学講座
先天性無眼球症
暖かい大阪から寒い札幌に帰ってきました。
パンジーが咲いているどころか土も芝生の雪の下です。
あと2ヵ月はかかりそうです。
第30回日本眼瞼義眼床手術学会(大阪)で勉強したことです。
とても有意義な学会でした。
学会長の大阪回生病院眼科、
今川幸宏先生に感謝しています。
私が感動したのは、
義眼師さんの発表です。
義眼を作ってくだる技師さんです。
毎回、この学会で発表されています。
■ ■
特殊な義眼の形状を呈するに至った先天性片無眼球症の1例
光安哲人1、光安佐織1、大慈弥裕之2
1有限会社アツザワプロテーゼ九州、2福岡大学病院形成外科
先天性無眼球症という病気があります。
生まれつき眼球がない赤ちゃんがいます。
片眼だけない赤ちゃんも、
両眼ともない赤ちゃんもいます。
■ ■
眼球がないので、
義眼を入れます。
たとえ見えなくても眼球のように(他人から)見えます。
ところが、
生まれつき眼球がないので、
義眼を入れるスペースがありません。
眼球がなくても、
上手な義眼が入ると、
見た目は改善します。
■ ■
赤ちゃんに目がないときは、
生まれてからできるだけ早く、
眼球の代わりになるものを装着して、
眼窩骨が発育するようにします。
この時に役立つのが拡張器です。
市販の拡張器はないので、
オーダーメイドで作ることになります。
活躍するのが義眼師さんです。
■ ■
アツザワプロテーゼ九州の、
光安哲人さんはプロフェッショナルです。
患者さんのご両親と協力して、
拡張器(ブジー)を制作されました。
私が市立札幌病院に勤務していた頃に、
無眼球症の患者さんから相談を受けたことがありました。
残念なことに、
当時はいい解決法が見つけられませんでした。
■ ■
先天性無眼球症の患者さんでも、
上手に義眼を入れるスペースをつくって、
上手に作っていただいた義眼を入れると、
見た目は大きく変わります。
アツザワプロテーゼ九州の、
光安哲人さんがつくられた、
拡張器(ブジー)と義眼のおかげで、
すばらしい目ができていました。
感激しました。
“先天性無眼球症”へのコメント
コメントをどうぞ
先天性無眼球症は
患者さん、親御さんにとって
とても辛い病気ですね。
医学の進歩
拡張器(ブジー)と義眼で
見た目が良くなれば
心が傷つくことがないでしょうね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。目が見えなくても義眼があるかないかで『見た目』は大きく変わります。特に片眼だけ無眼球の場合は健側の目になるべく近づけてあげることが重要です。どんなに上手な形成外科医でもむつかしいのがまぶたの再建です。光安さんのように熱心に拡張器を制作してくださって、素晴らしい義眼を作ってくださる義眼師さんはなかなかいません。とても感動しました。
生まれつき目が見えない、
さらに見た目の苦労まで、
させたくないと思うのが
親心だと思います。
そんな親子を救ってくださる
光安哲人さんの拡張器と義眼
そしてお医者さま素晴らしいと
思いました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。博多には光安哲人さんという素晴らしい義眼師さんと大慈弥裕之先生という素晴らしい形成外科医がいます。先天性無眼球症は原因不明でとてもまれな疾患です。福岡はいい都市です。
大学病院に入院した時、隣の人にお見舞いに来た人がいました。彼女は類天疱瘡るいてんぽうそうでした。さっきの人ね、癌で義眼なの。と言われましたが全くわかりませんでした。あれからだいぶたつので医学は進歩したと思います。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。医学は進歩しました。義眼も進歩しました。ただ子供の無眼球症や子供の義眼は難しいです。いい義眼師さんといい先生を見つけることが大切です。