医学講座
皮膚移植の方法⑤
皮膚移植の方法シリーズの最後です。
皮膚移植について書けば、
何日でも続けられるくらい、
奥が深いのが皮膚移植です。
医学は進歩しましたが、
皮膚を一度でぴたっと貼り付けられる、
魔法の糊はありません。
■ ■
皮膚移植を成功させるには、
移植する部位をいい状態にして、
移植する皮膚を、
慎重に選んで、
厚さを正確に、
均一の厚さで採皮することが大切です。
全層植皮FTSGの時には、
はさみで丁寧に脂肪を取る作業が必要です。
■ ■
いつか、
魔法の糊ができて、
他人の皮膚でも、
免疫反応を無くして、
瞬間接着剤のように移植できれば、
形成外科医は要らなくなるかも?です。
しばらくは魔法の糊はできそうにないので、
まだ私たちのような職人が必要だと思います。
■ ■
皮膚移植を成功させるための秘訣は、
血管新生です。
移植した皮膚に、
移植した部位から、
植物の芽が出るように、
血管が伸びてきます。
とても細い血管なので、
移植した皮膚が少しでも動くと、
新しくできた血管が切れてしまいます。
■ ■
移植した皮膚を、
上手に固定して、
動かさないようにしないと、
皮膚が壊死になってしまいます。
植皮が落ちた
…と言います。
患者さんも、
手術をした形成外科医も、
がっかりです。
私も何度もがっかりを経験しました。
皮膚をくっつける魔法の糊ができるまで、
形成外科医は失業しないと(私は)思っています。
“皮膚移植の方法⑤”へのコメント
コメントをどうぞ
皮膚移植も瞼の手術と
同じくらい奥が深く
熟練の技術が必要なのですね。
それでも植皮が落ちてしまう。
本当に難しいことが、
よくわかりました。
患者さんのために
可能性を信じて治療してくださる
形成外科医のお医者さま、
とてもありがたいです。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。皮膚移植は古くからある外科学の基本手技の一つです。私が札幌医大の学生だった時には免疫学の講義でも習いました。実際に医師になってからは先輩が移植された皮膚でも落ちるのを何度も見ました。今でも難しいと思います。将来、魔法の糊が生まれるといいと願っています。
形成外科のお医者様は
本当に職人さんですね。
とても細やかな作業です。
本間先生は超慎重派ですし、
手先も起用。
形成外科医に向いていらっしゃいます。
魔法の糊は私が生きてる間に
出来ない気がします。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。魔法の糊は難しいです。もしできたら熱傷や皮膚癌の治療もかなり変わると思います。
背骨の手術の時フェブリノーゲンとか言う糊を使いましたが、判子を押して、未知の病原体に感染するおそれとありました。もっといい糊ができて欲しいです。先生は生まれ変わっても素晴らしい形成外科になると思います。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
お忙しいのにコメントをいただきありがとうございます。形成外科でもフブリン糊を使っていました。私が使っていた頃には同意書は取っていませんでした。移植した皮膚を接着でき糊は今のところないです。来世のことはわからないので自分が形成外科医をできる間は精一杯がんばります。ありがとうございます。