医学講座
頭皮からの採皮②
2013年6月10日の頭皮からの採皮①
…の続きです。
頭皮からの採皮は…
特別新しいことではありません。
昔からある皮膚の採取方法です。
私が医師になった30年前からありました。
■ ■
人間の皮膚は…
自分の皮膚しか生着しません。
スキンバンクから皮膚をいただいて…
一時的に傷を覆うことはあります。
救命のためです。
残念なことに他人の皮膚は脱落してしまいます。
■ ■
自分の皮膚をとる時は…
分層植皮(ぶんそうしょくひ)と言って…
皮膚を薄くすりむくように取ります。
りんごの皮を薄くむくのと同じです。
ダーマトームというのは…
早く言えば皮むき機です。
■ ■
女性の顔を剃る…
使い捨てのかみそりを滅菌して使う施設もありました。
(今でも使っていると思います)
小型のダーマトームに使う刃が…
シックの男性用両刃タイプの刃を使うこともありました。
もともと医療用のはなかったので…
かみそりの刃を利用したのだと思います。
私はシックの刃が好きでした。
■ ■
第39回日本熱傷学会(沖縄)④に書いたように、
電動式ダーマートームがとても進歩しました。
AESCULAP(エースクラップ)社製の切れがいいです。
かみそりを使っていた時代と比べて…
格段に皮膚が取りやすくなりました。
それと同時に大きな皮膚もとれるようになりました。
■ ■
昔は…
頭皮から皮膚をとると…
頭部にははげが残り…
皮膚を移植したところには毛が生えるという…
かわいそうな例もありました。
ですから年配の先生の中には消極的な人もいます。
■ ■
私が頭皮から積極的に皮膚をとるようになったのは、
藤田保健衛生大学形成外科の…
吉村陽子教授のご発表を…
確か…
日本形成外科学会でお聞きしてからでした。
今から25年以上前です。
■ ■
吉村先生の発表をお聞きして…
頭皮からこんなにキレイに皮膚が採取できて…
毛も生えず…
色もつかないんだ!
…と感動した記憶があります。
25年も経ってから…
また注目されるとは思いませんでしたが…
上手にとると、とてもキレイに治ります。
“頭皮からの採皮②”へのコメント
コメントをどうぞ
自分の皮膚しか生着しないのなら ドナーカードに皮膚と書いても意味ないんですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございました。自分の皮膚しか生着しませんが、約4週間程度は生着してくれます。その間に自分の皮膚が伸びるので生命が助かります。ロシアから来たコンスタンチンちゃんも、東京から空輸してもらった皮膚で救命できました。自分の死後に皮膚を採られるのは抵抗があると思いますが、私は(組織すべて)と書いてあるので、皮膚も使えるのでしたら差し上げるつもりです。私の皮膚を採取する形成外科医はやりにくいと思いますが、失敗しても怒って化けて出たりしません。
頭皮の皮膚を使用する歴史の古さに驚きました。
形成外科の医学も進歩して患者さんが救われますね。
コンスタンチンちゃんの例は救急に他人の皮膚が使用されたなんて驚愕の事実です。
報道では何にも触れてませんでしたよね?
わかりました。4時間で助かる方がいるなら、私も長男も皮膚もすべてと書いていますが、私のは役に立たないかもしれません。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございました。大丈夫です。皮膚や角膜はかなり高齢の方のでも使えます。コンスタンチンちゃんを救ったのはかなり高齢の方の皮膚だったと聞いています。角膜も透明であれば100歳の方でも使えるそうです。