医療問題

サミット救急医療

 2007年10月26日北海道新聞朝刊の記事です。
 -救急医療態勢立ち遅れ-対テロ機関連携が急務
 「沖縄」は1年前から準備

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 来年七月の北海道洞爺湖サミツトで、首脳らを狙ったテロなど不測の事態に備える救急救命医療態勢づくりが急務となっている。
 国は今月ようやく作業に着手したが、テロなどの恐れは2000年の沖縄サミット時と比較にならぬほど高まっており、関係者の間には作業の遅れに懸念も広がっている。
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 札幌市内のホテルの一室に20日夜、国や道、それに道内外の医療関係者が集まった。会合の狙いは、サミット開催期間中の救急救命態勢をいかに構築するか。関係者にとって、初めての意見交換の場だった。
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 沖縄サミットの際は、ほぽ一年前から救急医療態勢が始動していた。厚生労働省は「北海道は医療基盤が整っている」と、沖縄との違いを説明するが、サミットの救急救命態勢は警備と並ぶ最重要課題。不測の事態の際の要人救護はもちろん、騒乱などによる傷病者の大量発生にも備えなければならない。
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 2005年のクレンイークルズ・サミット(英国)ではロンドン同時爆弾テロが発生。2001年のイタリアではデモ隊の一人が死亡し、今年のドイツでもデモの一部暴徒化で多数の負傷者が出た。
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 関係機関の連携も大きな課題だ。サミットの救急医療態勢は、複数の省庁や医療機関などが参加する。関係者の一人は「要人の情報など機密も絡むだけに、各機関の連携を円滑にするためにも、早く態勢を立ち上げて備えなければならない」と指摘する。
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 沖繩サミットでは、医師ら約200人が全国から集結。毒劇物や感染症の専門医も加めった。生物・化学兵器に対する防護マスクや除染テントの準備のほか、首脳を関係者以外の目に触れさせない動線の確保など、細かい態勢を整えた。
 沖縄サミットで国の医療対策本部に参加した札幌医大の浅井康文教授は、「万一の事態を想定した万全の態勢づくりが必要」と話している。
 (以上、北海道新聞より引用)
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 のん気な厚生労働省は『北海道は医療基盤が整っている』と、言っているそうですが、とんでもない誤りです。
 北海道の医療機関は、国の医療費削減政策で疲弊しています。特に、洞爺湖がある胆振管内は、唯一の救命救急センターである、日鋼記念病院が機能していません。
 日鋼記念病院がゴタゴタしているおかげで、お隣の市立室蘭総合病院や新日鉄病院も大変です。
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 私が札幌医大に在籍してた時に、有珠山が噴火しました。洞爺湖は有珠山が噴火してできた、カルデラ湖です。
 サミット会場のウインザーホテルからも有珠山はすぐ近くです。
 有珠山噴火によって、ヤケドの患者さんがたくさん出たら、北海道としてどうやって対処するかを検討しました。
 高度救命救急センターである、札幌医科大学ですら、重症のヤケド患者さんを、一度に数十名も治療することは不可能です。
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 もし、サミットの際に集団テロで、一度に数百人もの人が負傷したら、大都市の札幌ですら対処するのは大変です。
 浅井教授は、その辺のことは十分にご存知です。
 サミットを洞爺湖に決めた安倍首相はもう退任されました。厚生労働大臣も年金問題でサミットの医療問題どころではなさそうです。
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 救急医を全国から集めただけでは救急医療はできません。
 看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師、医療事務、病院の設備、一つ欠けても病院として機能しません。
 テロが起きてからでは遅いのです。国立災害医療センターなどの専門家を交えて、慎重な討論と準備が必要だと思います。

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