医学講座
医師の残業、労使協定超え 道内6病院「過労死ライン」
平成30年6月8日、北海道新聞朝刊のトップ記事です。
医師の残業、労使協定超え 道内大規模4病院に勧告 6病院「過労死ライン」
医師に労使協定を超える残業をさせたとして、一般病床400床以上の道内25の大規模病院のうち、少なくとも4病院が過去5年間に労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、北海道新聞の調べで分かった。また労使協定の残業時間の上限が「過労死ライン」の月100時間を超える病院が6病院あることも分かった。医師が過重労働を強いられる現状の一端が明らかになった。
参院で審議中の働き方改革関連法案では残業時間の上限規制導入が盛り込まれたが、医師については医師法で原則診療を拒めないと定められ、上限適用は5年間猶予する内容になっている。医師に対する対策の論議も求められそうだ。
労働基準法は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて残業させる場合、事前に残業時間の上限を定めた協定を労使間で結ぶことを義務づけ、協定を超えた残業は違法となる。
一般病床400床以上の道内大規模病院に対し、4月末現在での医師に関する労使協定締結の有無や協定内容、過去5年間に違法残業で是正勧告を受けたことがあるかを聞き取りし、21病院から回答を得た。
是正勧告を受けていたのは、札幌医大、北大、市立函館、旭川医大の4病院。
札幌医大は2016年1月、協定で「1日4時間まで」としていた残業時間の上限を超え、市立函館は2017年11月、協定で「週40時間まで」としていた残業時間の上限を超えて残業させたとして、それぞれ勧告を受けたという。両病院は上限を超えていた医師数などは明らかにしていない。
勧告を受けて札幌医大は2016年4月、緊急手術などに限り、残業時間の上限を「1日15時間15分まで」に引き上げるよう協定を結び直した。市立函館は、協定を超えないよう医師1人当たりの業務を見直し、それぞれ違法状態を解消したという。
北大と旭川医大は是正勧告を受けたことは認めたが、違反内容や是正の状況は「回答は控える」とした。
また協定で、厚生労働省が過労死の労災認定の目安とする「月100時間」を超えて残業時間の上限を設定していたのは、市立札幌、市立函館、旭川医大、北見赤十字、釧路赤十字、砂川市立の6病院。違法ではないが、大規模病院への患者の集中を背景に、協定そのものが過酷な勤務を前提としていた形だ。このうち残業の上限を「月120時間まで」とする協定を結ぶ北見赤十字は、オホーツク管内唯一の救命救急センターを持つ。同病院は「背景に医師不足があり、医師の超過勤務は避けられない」としている。
このほか、市立釧路総合病院は、医師を残業時間規制の対象外となる管理職と見なし、協定を結んでいなかった。同病院は「協定を結ぶ必要があるかについて検討したい」とする。
医師の働き方改革を巡っては、厚労省の委員会が長時間労働是正に向け検討を進め、医師以外の職種への業務移管推進などを盛り込んだ緊急対策案を2018年1月に提示。2019年度末までに最終報告をまとめる予定だ。(川崎学)
■中核病院に患者集中
医師の労働問題に詳しい森岡孝二・関西大学名誉教授 医師は「患者のため」という大義のもと、長時間労働を強いられており、是正勧告は氷山の一角だ。過労は医療事故につながる。労基署がしっかりと改善指導を行うべきだ。一方、背景には、救急医療を担う地域の中核病院への患者集中に加え、医師偏在による医師不足がある。特に外科や小児科、産婦人科などの医師は地域間の偏りが深刻。偏在解消には時間をかけて医師を養成する必要があり、計画的な取り組みが必要だ。
■ ■
今朝の朝刊の一面トップ記事が、
医師の残業についてでした。
掲載されていた6病院のうち、
北大
札幌医大
市立札幌病院
…の3つが私が勤務した病院です。
昔は医師に労働基準法が適用されるとか?
医師が労働者だとか?
そんなことは考えたこともありませんでした。
■ ■
今でも大学病院は、
非正規雇用の、
非常勤医師が活躍しています。
臨床研修医は非常勤扱いです。
退職金もありません。
昔は時間外手当はなく、
タイムカードもありませんでした。
今はどうかわかりません。
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大学病院で難しいのが、
いわゆる病院での診療以外に、
雑用
…と呼ばれる診療以外の業務が多いことです。
教室で主催する学会の準備があったり、
学会事務局としての仕事などもあります。
このような業務は附属病院の診療業務とは別の業務になります。
医師にも労働基準法が適用され、
人間らしい生活ができるようになってほしいです。