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大学とアルバイト

 私が札幌医大の教員になったのが平成10年(1998年)でした。44歳でした。
 札幌医大の教員は、北海道公立学校教員という地方公務員です。
 医科大学の‘先生’だから、さぞかしお給料がよいだろうと、‘普通’の方は想像されることと思います。
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 公務員はすべて俸給表という、給与表で給与が決まります。
 国立大学は、文部教官でした。国立大学病院の看護師さんは、文部技官でした。
 研修医は、公務員ではなく、非常勤職員で、私の時は任期が一日で日々更新という制度でした。
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 私は44歳で、北海道公立学校教員として北海道知事に採用されました。当時の知事は堀達也さんでした。
 私が北海道からいただくお給料は、帯広厚生病院時代と比べて2/3になりました。
 朝7:00過ぎには家を出て、帰るのは夜10:00頃でした。たまに徹夜の手術もありました。
 時間外手当は一切ありませんでしたし、タイムカードもありませんでした。
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 事務の方に伺ったところ、大学教員といっても、医師としての加算はなく、俸給表でみると、高校の先生+α程度の給与水準だそうです。同じ北海道の地方公務員でも、道立病院の医師職より給与が低いのが札幌医大の教員でした。
 大学の教員はお金がかかります。自分の生活費の他に、学会費、外国雑誌の購入、学会出張のお金(北海道から支給される額だけでは2回位しか行けません)。
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 学生さんに配るプリントを印刷したり、資料をコピーするのに、各医局にコピー機があります。このコピー機のリース代まで自分たちで分担して払っています。
 医局に設置してあるFAXの電話料金、FAX本体、電話加入権も自腹です。
 これだけの経費を、少ない給与から分担するのは大変なことです。
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 少ないお給料を補填(ホテン)してくれたのが、アルバイト収入でした。
 形成外科医だから、大手美容外科の札幌店へバイトに行っていたのではありません(お願いしてもおそらく不採用です)。
 北海道の地域医療を支える目的で、道内の医療機関へ‘出張’に行きました。これは程度の差こそあれ、どこの医学部でも同じだと思います。
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 公務員が、アルバイトをすることは地方公務員法で禁止されています。
 昔は、北大の先生が予備校で教えてくれたり、国立大学の先生が、旺文社の大学受験ラジオ講座で講師をしていました。
 公務員のアルバイト規制が厳しくなってから、予備校もラジオ講座も国立大学の先生はできなくなりました。
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 医科大学や医学部は、地方医療の支援という‘錦の御旗’のもとでアルバイトが‘許可’されていました。
 私が在籍していた時は、‘兼業願い’という書類を提出し、医学部長が決裁していました。
 私が記憶している範囲では、‘あなたはアルバイトが多すぎるから減らすように’と減らされた人は、いなかったと思います。
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 問題なのはここからです。当時の札幌医大では、内規で‘自分の年収まではアルバイトを認める’という不文律があったようです。規則に書いてあったとは思えませんが、なぁなぁで決まっていたようです。
 私が知っているある講師は、年収が3,000万円を超えていました。大学事務局は住民税を徴収するので、この事実を知っていましたが、まったくお咎(トガメ)なしです。
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 私は札幌医大の事務局長に話したことがありますが、問題ないとのことでした。ある講演会で、高橋はるみ知事に話したことがありましたが、調査はされませんでした。
 確かに、地方医療の支援は大切だと思いますが、どこの会社に自分の年収の2倍もアルバイトを認めるところがあるでしょうか?
 慢性的な赤字のため、札幌医科大学には北海道から毎年多額の公金が支出されています。

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