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美容外科の修行

 昨日ご紹介したの朝日新聞の記事に、『美容外科を志す人は、やけどの跡の修復などをする形成外科の経験を基に、試行錯誤で技術や知識を身につけているのが実情だ。技術水準は個人差が大きく、医療被害にもつながっているという指摘がある』と記載されていました。
 実情は違うと思います。‘美容外科を志して、形成外科を選んだものの、やらされるのは毎日まいにちヤケドの処置だけ’
 ‘こんなはずじゃなかった!’と形成外科を去る若い先生がたくさんいます
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 現在、日本の医育機関で実際に教鞭をとっていらっしゃる形成外科教授で、美容外科がバリバリできるのは、ほんの数名しかいないと思います。
 その数名の先生も、大学病院で美容外科の症例を重ねたのではなく、民間の開業医レベルか有名美容外科で手術をたくさんした先生です。
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 日本形成外科学会でも、過去に何回か美容外科研修について取り上げたことがありました。
 何回議論しても、大学病院に美容外科の‘お客様’は多くはいらっしゃいません。よそで手術をしたけれど、トラブルになったとか、大手美容外科に行ったけれど心配になった方が多いと聞きます。
 25年前に、私が北海道大学でコラーゲンの臨床試験を担当させていただいた時も、‘お客様’は来院されず、自分の母親とか妻とか、知り合いばかりでした。
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 私自身は、総合病院に勤務中に、土日に美容外科へ‘ほぼ無給’で修行に行きました。担当させていただいたのは、ワキガ手術。あとはひたすら、ゴットハンドの院長先生の手術を見て覚えました。
 前任の中央クリニックでは、私が尊敬する美容外科‘指導医’の先生に、美容外科スピリットを教えていただきました。
 その先生は、大学卒業後に十仁病院へ入職。私が形成外科医として経験したのと同じ歳月を、美容外科医として活躍された先生でした。
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 確かに形成外科医は、技術では素晴らしいものを持っていると思います。
 しかし、美容外科は‘技術’だけでは食べて行けません。
 ‘お客様のニーズ’に合わせた手術や治療を提供できるのが美容外科だと思います。
 そういう意味では、私もまだまだ修行が足りません。大変申し訳ないことですが、私は形成外科出身なので、自分の考えに合わない手術はお引き受けしていません。
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 私の周囲を見ると、美容外科を志す若い先生は、大部分が有名な美容外科に就職しています。
 若くして分院の院長に就任している先生もいらっしゃいます。
 美容外科は、競争が激しい業界です。老舗(シニセ)と言われていた有名美容外科が廃院しました。
 若くして、大手美容外科チェーン店の店長になった先生が、独立して同じような業態のチェーン店を展開しているところもあります。
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 20年以上も大々的にチェーン展開をしている美容外科は、私が知る限り、数軒しかありません。
 優秀な先生をいかに長く雇用できるか?店長クラスの先生をいかに多く確保するか?チェーン店の美容外科経営も楽ではありません。
 私のように、個人で自分ができる範囲の手術をして、他に‘先生’を雇わないのが、一番楽だと思います。
 自分の‘分身’だと思っていた‘先生’に裏切られる心配もありません。
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 美容外科は外科手術ですから、知識と技術が必要です。
 どこでも、タダで安易に知識と技術は教えてくれません。これから美容外科を志す先生が、どうやって知識や技術を習得するかが問題なのですが、なかなか簡単に解決はしないと思います。
 私は将来も、大学医学部では美容外科研修は難しいと思います。

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