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医学部志望
昨夜、知人のお嬢さんで、医学部志望の学生さんとお話しする時間がありました。誕生祝いのお花までいただき、心が和みました。この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。
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そのお話しの中で、いくつか私なりの考えを述べたので、整理する意味で、日記に書いてみます。
大学の教員を4年間しました。最後は追い出されるように大学を辞め、辛い思いをしましたが、楽しい想い出もたくさんあります。
一番の想い出は、延べ400人近い学生さんとじかに話しをし、実習を指導し、形成外科について私の考えを伝えられたことです。さまざまな学生さんがいらっしゃいました。
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医学部は他学部と比べると、偏差値が高く、今も昔も難関学部の一つです。
最近は入試制度が変わり、高校の成績が良ければ、推薦入学で入る学生さんもいます。
高校の成績と、大学での面接・小論文程度で早々と合格が決まります。
大学側も、慎重に判定していると思いますが、中には成績が良かったので『推薦で入っちゃった!』という感じの学生さんもいました。
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明確な志望動機がなく、成績が良かったので、なんとなく医学部に入っちゃった人は苦労します。
医学部は、授業時間数も多く、他学部と比べて学生時代の自由な時間がありません。とにかく覚えることがたくさんあります。
試験も多く、進級判定も厳しいため、ちょっと油断するとすぐに留年です。目的がはっきりせずに入学した学生は、在学中に留年を繰り返し、退学になる人もまれにいます。
最後には医師国家試験があります。司法試験ほどではないと思いますが、勉強しないと受かりません。卒業しても国家試験に受からないと、何の役にも立たないのが医学部です。
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解剖学実習があります。最初は骨学(コツガク)といって、本物のヒトの骨をスケッチして、骨の構造や、骨についている筋肉、骨の穴を通る神経や血管を覚えます。
次に、実際にご遺体を解剖して、人体の構造・機能を学びます。大学によって異なりますが、解剖体の関係もあって数ヵ月は週に何回も解剖実習です。
怖いとか、気持ち悪いという感覚は、あっても最初だけです。覚える膨大な知識と、口頭試問による試験のために毎日勉強です。
細い神経や血管を剖出(ボウシュツ)するのもかなり疲れる作業です。剖出とは脂肪などの中から剥がしてキレイに出すことをいいます。
私はキレイに出すのが得意でした。時間がかかってもコツコツと解剖していました。
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こうした医学部らしい授業が、早い大学で1年生から、遅い大学でも2年生には始まります。
私の頃は、どの大学でも最初の2年間は、まるまる一般教養でしたので、この時に運転免許を取得したり、クラブ活動をしたりする時間がありました。
現在は、国家試験の問題数も増え、専門科目がはじまる時期が早くなってきています。
ゆっくり考える暇もなく、学生生活を送っていると、臨床実習がはじまります。
最近の臨床実習では、OSCE(オスキー)という、模擬患者さんとの面接試験まであります。
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OSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)、通称オスキーと呼ばれます。
医学生に求められる臨床能力としては、①医療面接②身体診察③得られた情報から問題点を同定④必要な検査の選択と実施⑤検査結果の解釈⑥適切な治療計画の立案⑦インフォームド・コンセントの実施、などがあります。
各大学でのOSCE実施状況では、医療面接、胸部診察、心音・呼吸音聴診、腹部診察、神経診察、バイタルサイン等が多く出題されています。
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最初からできる学生はいません。話しをするのが苦手でも、訓練すればできるようになります。
ただ、何のために自分は医師を選んだかが明確でない人は苦労します。
何年も浪人して苦労して入学した学生。他大学を卒業後に一念発起して医学部を目指した学生は精神的にも強く頑張りがききます。
以前にも書きましたが、浪人は無駄ではありません。精神力を鍛えるのは、不安に思いながらも、毎日努力する予備校時代だと思います。
来年の栄冠を目指して、健康に気をつけて頑張っていただきたいと、心から応援しています。