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大学というところ
札幌医科大学に限らず、大学の教員になるには資格が必要です。もちろん大学を卒業していないと、大学の教員にはなれません。大学院を出ている人が望ましいですが、大学院を出ていない医学部の教授もたくさんいらっしゃいます。
講師になるには、最低限、学位という博士号が必要です。学術論文も書いていないとなれません。手術が上手だとか、講義が上手だとか、医師として立派だとかはあまり関係ありません。
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大学教員で一番評価されるのは、英文論文が何篇あるか?という書類上の‘業績’です。
つまり、英語で論文を書くのが得意な人が、大学で偉くなれます。
どんなに手術が上手でも、‘神の手’でも、外国の有名な雑誌に英文論文を書いていないと、教授にはなれません。
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外国の雑誌といっても、書店で売っているような雑誌ではありません。一般の方は、まず目にすることがない、大学図書館にでも行かないと見ることができない学術雑誌です。
形成外科では、PRS(ピーアールエス)と呼ばれる、米国形成外科学会雑誌が一番上位です。
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雑誌にはそれぞれ、インパクトファクターというランキングがあります。
このインパクトファクターが高い雑誌ほど、論文の価値があるとされています。
医学部の教授選挙の時には、インパクトファクターが高い論文が何篇あるかが、最初の関門となります。
どんなに素晴らしい先生でも、英文論文が一篇もなければ、医学部の教授にはまずなれません。
論文は、ただ英語で書けばよいというものではありません。掲載されるには厳重な審査があります。
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たとえばPRSは、米国形成外科学会の学術雑誌です。論文を書いたら、編集者のところへ送って審査を受けます。
論文は3人の審査委員のところへ送られます。通常は、雑誌に出ている編集委員が論文の査読(サドク)という審査をします。編集長の判断で編集委員以外に送られることもあります。
私は一度だけ、編集長から論文の審査を依頼されたことがありました。2週間以内に査読して送り返してください、という手紙とともに送られて来ました。とても驚きましたが、名誉なことなので、コメントを書いて返送しました。
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論文は、何か新しいこと‘NEW(ニュー)’がないと採用されません。
形成外科では、新しい手術法を見つけたとか、いままでの手術を何百例か検討したところ、こんな結果だったとか…。
よい雑誌ほど審査が厳しく、採用される率は低くなります。
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論文捏造(ネツゾウ)という話題が報道されることがあります。
手術に関する論文で、データーを捏造しようと思っても難しいですが、基礎的な研究では捏造されることがあります。
韓国で論文が捏造された事件が有名です。
学術論文に嘘を書くなど、科学者として信じられないことですが、実際に嘘のデーターを書いて論文数を増やした先生もいるようです。
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大学教授というと、人物・性格・医療技術のすべてが素晴らしい人という印象を持ちます。
実際に素晴らしい教授が大部分です。ただ、なかには論文の数を増やすことだけに専念して、臨床医として実力が伴わない人もいました。
よい美容外科を見分けるのは難しいですが、大学病院だからといって、100%信じてはいけません。
美容外科に関しては、論文執筆も学会発表もしていないのに‘神の手’のような先生がいらっしゃいます。美容外科は、大学病院より開業医の方に上手な先生がいらっしゃると思います。