医学講座
市立札幌病院赤字の原因
昨日の院長日記、
市立札幌病院創立150周年の続きです。
市立札幌病院苦境に_競争激化赤字に
2016年3月13日の院長日記です。
北海道新聞朝刊の記事を引用しています。
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3年前の記事の中に、
一般病床は752床から
701床に
51床減った
…と書いてありました。
昨日の記事では、
現在は672床を備え、
1日約2干人の患者を診療する
…となっています。
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この記事通りだと、
3年間で80床が減少しています。
一割以上の病床が減ったことになります。
私は国の政策が悪いと思います。
私の家から一番近い病院が、
市立札幌病院です。
残念なことに、
紹介状がないと初診時に5400円も取られます。
再診時にも2500円がかかります。
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私が勤務していた1989年当時は、
近隣の住民や会社員が、
紹介状がなくても受診できました。
待ち時間は長かったと思いますが、
近隣住民にもたくさん利用されていました。
紹介状が必要という国の制度ができても、
民間病院は近くにクリニックを作って、
そこに患者さんを集めることができます。
市立札幌病院にはできません。
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昨日の記事をもう一度読んでみると、
現在の病院は1995年に
420億円かけて建設した
…と書いてあります。
私が市立札幌病院に勤務していた1989年から1994年に、
市立札幌病院の建設工事が行われました。
札幌市建設局から何人もの人たちがいらして、
病院の一室で設計図を作っていました。
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ふつうの人にはわからないと思いますが、
民間病院でしたら、
700床程度の病院建設に、
420億円はかけません。
災害が起きても壊れないように、
特別頑丈に作ってあるのが市立札幌病院です。
高額の建設費がかかったので、
毎年の減価償却費が高いです。
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築25年近く経っているので、
毎年の維持管理にもお金がかかります。
修繕費もかかります。
非常用電源の減価償却費もかかります。
災害に強い病院はお金がかかります。
言い訳に聞こえると思いますが、
赤字の原因は、
お医者さんの給与が高いためではありません。
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維持管理費がかかる、
大型ジェット機の定員を、
10%も下げて、
紹介状を持った人しか乗れなければ、
航空会社は倒産します。
札幌市民の命を守る病院なので、
何とか倒産しないようにがんばってほしいです。
市立札幌病院OB医師としての願いです。