医学講座
桃田選手の眼窩底骨折
今日は2020年2月9日(日)です。
札幌は寒いです。
暖冬と油断していたら、
2001年1月以来、19年ぶりの強い寒気です。
上川地方の江丹別で-36℃、
札幌の最低気温も-14℃です。
今朝の北海道新聞に、
バドミントンの桃田選手の骨折が出ていました。
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眼窩底骨折がんかていこっせつ
…という骨折です。
桃田選手が帰国した時の写真を見て、
形成外科医が縫合したキズではないな?
…と私は感じました。
おそらく救急の先生が診断して、
縫合したと思います。
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形成外科専門医が顔面外傷を診察する場合は、
必ず目の動きをみます。
頬や上口唇のシビレをチェックします。
顔面骨のCTを撮ります。
CTの画像を見ると、
眼窩底骨折は診断できます。
小児の眼窩底骨折は24時間以内に緊急手術です。
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眼窩底骨折がんかていこっせつ
眼窩ブローアウト骨折とも呼ばれます。
頭蓋骨の眼球が入る部分を、
眼窩がんかと呼びます。
頭蓋骨はとても硬い骨ですが、
目が入る部分だけ、
とても薄い構造になっています。
卵の殻を少し厚くした程度です。
■ ■
私は形成外科で手術をする時に、
この卵の殻のように薄い構造は、
車の衝撃吸収バンバーだと説明していました。
つまり、
目という大切な器官を守るために、
強い外力が加わった時に、
卵の殻が壊れて、
眼球を保護する役割を持っています。
■ ■
桃田選手は、
プレー中にシャトルが二重に見えるなど、
違和感があるとの申し出があった。
日本で救急病院を受診しても、
眼窩底骨折が見落とされることがあります。
専門は形成外科です。
海外で事故にあったら、
Plastic Surgeon形成外科の先生に診てもらうことです。
プラスチックの先生と覚えてください。
プラモデルやプラスチックと同じ、
プラスチックの先生です。