医学講座
英国人パイロットの奥様の死
今日は2022年3月24日(木)です。
ロシアのウクライナ攻撃が続いています。
ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説に、
ロシアのプーチン大統領が怒り心頭。
日本がロシアの敵対国になっています。
残念なことですが、
人殺しの大統領は信じてはいけない人です。
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人間は間違いを犯す生き物です。
歴史が教えてくれています。
日本も第二次世界大戦で大変なことをしました。
今日は戦争のことではなく、
医療事故のことについて書きます。
医師もミスをすることがあります。
人命にかかわる判断ミスもあります。
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医療事故と航空機事故
2009年12月15日の院長日記です。
医療事故も航空機事故も、
ちょっとしたヒューマンエラーから起こります。
大阪大学医学部付属病院の、
中央クオリティマネジメント部が、
チームパフォーマンス(ノンテクニカルとテクニカルスキル)
…というサイトを作っています。
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ここに、
英国人パイロットのマーティン・ブロミリー Martin Bromiley さんが、
2005年に副鼻腔炎の手術で奥様が亡くなった事故を詳細に調査し、
YouTubeで公開されている動画 Just A Routine Operation があります。
簡単に説明すると、
ベテラン麻酔科医は挿管にこだわりすぎました。
手術室看護師は気管切開をするべきだと判断し、
気管切開セットを準備していました。
残念なことに麻酔科医は看護師の準備に見向きませんでした。
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動画の中で早い段階から、
ベテラン看護師はICU入室の手配をしていました。
副鼻腔炎の手術だったので、
そこには耳鼻科医がいました。
耳鼻科医からも気管切開の進言はありませんでした。
結果的に低酸素脳症でブロミリーBromiley さんの奥さんは亡くなり、
パイロットのご主人と二人の子供さんが残されました。
奥さんの死を無駄にしないために、
ブロミリーさんは2007年にクリニカル・ヒューマン・ファクターズ・グループを設立しました。
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どんなに偉いお医者さんも、
どんなに偉い政治家も間違いをします。
周囲の人の進言に耳を傾けないと、
とんでもない間違いをすることになります。
戦争はもっともしてはいけない間違いです。
早くプーチン大統領に進言できる人が出てきてほしいです。
このままだと、
ウクライナ人だけではなくロシア人も困ります。
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われわれ医療従事者も、
間違いをしないように、
コミュニケーション、
チームワーク、
リーダーシップ、
状況認識が必要です。
手術室では特に適切な意思決定が必要です。
自分はミスをしないと思わないことです。
他人がしたミスは自分もする可能性があります。