医療問題
妊婦の搬送拒否札幌でも
平成19年9月4日北海道新聞朝刊の記事です。
妊婦の搬送 札幌でも受け入れ拒否 昨年5件、最多で11回
奈良県の妊婦が医療機関から相次いで受け入れを拒否され、救急搬送中に死産した事件に関連し、札幌市内でも、2006年だけで救急搬送中の妊婦の受け入れ拒否が5件起きていたことが3日分かった。受け入れを11回拒否された妊婦もおり、札幌市消防局は「同様の事件は悪条件が重なれば道内でも起こりうる」と危機感を強めている。
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札幌市消防局救急課によると、受け入れ拒否に遭ったのは、腹痛や不正出血を訴え、札幌市内で119番通報した5人。全員に産婦人科の受診歴が無く、かかりつけ医がいなかった。
出動した救急隊員が、複数の病院に電話で連絡を取って搬送先を探したが、隊員が「かかりつけ医がいない」などと状況を伝えると、「医師が不在」「患者を処置中」などの理由で相次いで受け入れを拒まれたという。
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拒否された回数は、少ない妊婦で5回。最も多く受け入れを拒否された十代の妊婦は、受け入れを11回断られた後、救急救命センターのある札幌市中心部の総合病院に搬送された。この妊婦は、119番通報から搬送先が見つかるまでの所要時間が90分と、札幌市内で119番通報から病院に到着するまでの平均所要時間の3倍を超えた。
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札幌で受け入れ拒否が起きた原因について関係者は、産婦人科医の減少で救急患者を受け入れる病院が減ったことと並び、かかりつけ医の不在も影響したとみている。
市立札幌病院の晴山仁志産婦人科部長は「産婦人科の受診歴がないと、妊娠第何週なのか、早産など異常がないかなど、すべてが不明。出産に伴うリスクが高く、受け入れをためらう医療機関が出る」と説明する。
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札幌の5人には、搬送中の死産などの事故は起きていない。同市消防局救急課は「患者を待たせないよう、指令情報センターと救急隊全体で情報を共有するなど改善を進めているが、課題は残る。奈良のような事件は、いつ起きてもおかしくない」と指摘。「万一に備えるためにも、妊婦さんは必ず産婦人科にかかってほしい」と話している。
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奈良県では先月29日、救急搬送された38歳の妊婦が、同県や大阪府など計9病院から「医師が処置中」などの理由で受け入れを断られ、最後に運び込まれた病院で死産が確認された。この女性は産婦人科医の受診歴が無かった。
(平成19年9月4日北海道新聞朝刊より引用)
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やはり札幌でも起こっていました。北海道で一番大きな都市、札幌には北大医学部と札幌医科大学の2つの医育機関があります。人口当たりの医師数も、北海道内の他都市と比較して圧倒的に多いのです。
市立札幌病院の晴山仁志先生は、国立札幌病院から、北海道大学医学部助教授を経て、市立札幌病院に就任なさったベテラン中のベテランの先生です。
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『産婦人科の受診歴がない妊婦さん』は、晴山先生がおっしゃるように、高リスクの方が多いのでしょう。
経済的理由で受診していない方もいらっしゃいます。以前、産婦人科の先生から、伺ったお話しです。突然、臨月の妊婦さんが飛び込んできて、あっという間に分娩して、あっという間に赤ちゃんを置いていなくなっていた。
母子手帳もなく、名前も偽名で、住所もでたらめだった。医療費の請求もできなかった。という実話を聞いたことがあります。
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確かに、望まれない妊娠や出産は実際にあります。通常は、妊娠に気づいてから出産まで、半年以上の月日があります。
妊娠・出産は、種の保存にとって大切な自然界のできごとです。産婦人科にかかっていない妊婦さんのすべてが、望まれない妊娠とは申しません。ただ、自分の体を守るのは自分しかいないのです。
私は、性感染症にかかっても、ケロッとしている若い女性が心配でたまりません。性の快楽だけを求めている人は、いつか手痛い目に遭うと思います。