医学講座
著しい醜状の再建手術
明日から日本熱傷学会です。
横浜へ来ています。
2010年5月30日の日記に書いた、
時代遅れの認定基準。
第10図の男性についての解説です。
顔面左半部に火傷を負い,
鶏卵大面以上の著しい瘢痕が残っている状態。
このような患者さんの手術を担当するのが、
形成外科です。
■ ■
私の想像ですが…
この図の男性は実在する患者さんです。
おそらく…
手術をなさった先生の意見をもとに…
著しい醜状の例として、
掲載されたと思います。
私が形成外科医になって…
30年になります。
熱傷治療も…
形成外科の技術も進歩しました。
■ ■
30年前でしたら、
再建手術は『植皮』です。
広範囲の熱傷ではなく…
身体の他の部分は正常だと仮定します。
植皮には、
全層植皮(ぜんそうしょくひ)と、
分層植皮(ぶんそうしょくひ)があります。
皮膚を切り取って、
全部植えるのが全層植皮。
皮膚を上だけ削って、
薄くして植えるのが分層植皮です。
■ ■
少しでも見た目を良くするには…
全層植皮が理想です。
ただ技術的に難しく…
手術後の安静も必要です。
私でも100%生着させる自信はありません。
皮膚を採取する部位によっては、
全層植皮でも…
手術後に『つぎをあてた』ように目立ちます。
きれいに再建するのは、
なかなか難しい症例です。
■ ■
私が学位論文の研究をした、
エクスパンダーという方法があります。
シリコンでできた風船を、
皮膚の下に入れて…
組織を膨らます方法です。
健康保険でも組織拡張器(そしきかくちょうき)
として認められています。
このエクスパンダーを、
首から肩にかけて入れて、
その部分の皮膚を伸ばして…
再建する方法があります。
■ ■
きれいに治すのは、
時間もかかりますし、
優秀な形成外科医でなければできません。
このような熱傷の治療が…
上手なのが、
東京女子医大形成外科です。
昨年の第35回日本熱傷学会①
でご紹介した、
キャセイ産業㈱代表取締役
大島修治様は、
下の患者さんより重症でした。
みごとに治してくださったのが、
東京女子医大形成外科の先生です。
■ ■
労災補償_障害認定必携より引用
監修_厚生労働省労働基準局
発行_?労働福祉共済会
“著しい醜状の再建手術”へのコメント
コメントをどうぞ
学会お疲れ様です。
横浜も暑いでしょうか?本間先生の手術された 花嫁さんのハガキの方があまりにも綺麗で 傷もなく すばらしい技術だとおもいます。 でもはっきり言って 耳鼻科や眼科、内科とかはわかりますが ほとんどの方は形成外科がどんな科でどんな手術をするのか知らないと思います。
多くの方に形成外科を教え広めて少しでもヤケドや怪我の傷が綺麗に治って欲しく思います。
明日も頑張ってください
先生、横浜なのですね。
熱傷の場合、広範囲だと血液を含めた浸出液(水分や栄養)が出ていき、傷が出来ていることで外界と接している事があげられます。傷を塞ぐことは生命の維持や感染予防、整容や機能回復に繋がると思います。
しかし、広範囲だと傷を塞ぐ為の皮膚がいります。どこから・・・どうやって・・(自分の皮膚?人工培養皮膚?人工真皮?、代替できるものは?、他の人から?生着率は?安全性は?外用薬の併用など)
熱傷後、植皮されたり、瘢痕拘縮形成術で実際、傷が綺麗になった方もいらしゃいます。再建技術がアップされ、熱傷を受傷された患者さんを救って欲しいです。
本間先生すみません、学会で再生医療について発表はあるのでしょうか。亡くなった方(他人)からの皮膚を実際植皮された場合の生着率などはどうなのでしょうか?
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
熱傷学会では培養表皮やスキンバンクなどについての発表もあります。今日、レポートしますね。